八谷和彦さんの個展を見に錦糸町の無人島プロダクションへ。
錦糸町もえげつないところで、マルイのある大通りから一本裏路地に入ったらあっという間に無料案内所の看板が並ぶ怪しいエリアでヒヤリとさせられた。でも気になる食事処も多い場所で、通りがかりにあった亀戸ぎょうざや満鶏軒はこのご時世に店の外まで行列が出来ていた。
八谷さんは、最近ゲームブログの方でも取り上げた「視聴覚交換マシン」や「ポストペット」などを手掛けたメディアアーティスト。それが最近ではナウシカのメーヴェをモデルにした「M-02J」という飛行機を開発していると聞いて「?」と思っていたのだけど、ちょうど無人島プロダクションでその実機展示をやるということで見に行くことにした。
この日は偶然にも八谷さんの在廊日だったらしく、直接解説を聞くことが出来た。
この展示では、タイトルの通り「M-02J」と同じ無尾翼機である「秋水」を共に紹介する構成になっている。「秋水」はあのB-29の迎撃をミッションとして開発されたが、そのまま終戦を迎え試作機で終わった飛行機。戦後は日本の飛行機産業は徐々に縮小していき、2016年に「M-02J」を含んだ3種の飛行機が開発されたのが歴史の先端となっている。更には「M-02J」以外のプロジェクトは既に凍結されてしまったとのことで、実際に飛ばすことができる機体は「M-02J」のみらしい。そして「M-02J」の設計者である四戸哲氏が師と仰いでいたのが、「秋水」の開発に一部関わった木村秀政氏というつながりらしい。
事前の印象としてはメディアアートと飛行機というのがなかなか頭の中で繋がらなかったのだけど、ジブリの『風立ちぬ』で描かれたように飛行機開発は戦争でもなければ国内では成立しない産業であり、これから失われるであろう技術を拾い集めてメーヴェの形にまとめ上げたのが「M-02J」なのだと捉えると、なるほど面白く感じてくる。
無人島プロダクションは何度か来たことがあったけど、この日は八谷さんが在廊しているのもあってコアな飛行機ファンが集まったのか、普段と違う雰囲気が新鮮で良かった。