しばらく前に予約に成功したテリー・ライリーの能舞台ライブの日が来たので京都へ。このライブはKYOTO AMBIENTの2回目に合わせたイベントということで、昼間は展示を見て回った。
前回はブライアン・イーノ特集だったが、今回は坂本龍一やコーネリアスなど複数アーティストを取り上げるかたち。
恐らく多くの人が本イベントで目当てにしているのは坂本龍一とダムタイプ高谷史郎のインスタレーションだろうが、自分はここ数年のダムタイプの展示やパフォーマンスでスリットスキャンを使った映像は何度か見ていおりテンションは上がらず。どちらかといえばサウンドエンジニアのZAK氏が関わっている京都中央信用金庫の展示が刺さった。
特筆すべきはコーネリアスの「QUANTUM GHOSTS」。音楽に合わせて明滅するライトに一瞬イルミネーション的チープさを感じてしまうが、舞台の中央に立って聞くと印象が変わる。まず音源が元の2mixそのままではなく、360°に配置されたスピーカー向けにエディットされたものが流されていることが分かる。特に原曲ではピンポンディレイのように左右を行き来していたパルス音が円形に移動するアレンジになっているのは感激した。(小山田圭吾が単なる楽曲提供レベルを超えた関わり方をしているのもここで分かった) ライトの明滅は音の発声元を視覚的に辿れるよう忠実にリンクしたものになっており、オシロスコープの内側から音楽を目で追っていくような面白い体験になっていた。
展示会場は2箇所に別れており、折角なので徒歩とバスを駆使して京都の地理を頭に入れながら移動する。途中Matsumoto Hisataakaaaさんが店長をしているVinyl7に初めて寄ってみた。すべてのレコードに解説文が付いており「うおっ」と思いながら1枚購入。
隣の寺町商店街でも面白い店がいくつかあり、特に民族楽器コイズミは長居してしまった。ペンタトニックスケールのカリンバを買いかけたが宝の持ち腐れになることが分かっているので我慢。
夜までぶらぶらして最後は東本願寺へ。残念ながらここで雨が降り出す。先にメールでアナウンスがあった通りカッパを調達してきたし準備万端ですよと会場に着いたところ、ステージから遠いA席にはちゃんと屋根があることが判明。自分は奮発してS席を取っていた…。ただこういうひっくり返しは正直テンションが上がる。損する側でも。
テリー・ライリーのライブはすでに2度見ており、今回来たのも能楽堂というシチュエーションに惹かれたからだったが、これまで披露したことの無かったラーガからスタート。ライブの演目はいつも即興で決めていると聞いたことがあるので、そういう気分だったのだろうと思う。耳元のカッパのフードから鳴る雨の音とテリー&宮本沙羅の歌唱だけが聞こえる不思議なライブだった。後半は演奏もあったが、ラーガのインパクトが強すぎてそちらばかり記憶に残っている。(雨で体力を消耗して集中が切れたのもある)
以前からテリーの即興についていく宮本沙羅は何者だろうと気になっていたが、ラーガの歌唱も素晴らしかった。どんな人なのか調べてみたところご本人のnoteの記事が見つかったが、分かったこともあればかえって謎が深まったような気もする。
https://note.com/sara_miyam/n/nf1c990b9fdc6
くたくたになりながら新幹線で帰った。