もう2か月くらい前の話になるけど、シグマのdp2 Quattroを買った。
自分は別にカメラ好きではないことを踏まえると、このセレクトはなかなか思い切った判断だったと思う。
シグマのカメラというのはとてもピーキーで、特定の条件下では驚くほど美しい写真が撮れる一方、高感度に弱い面があり、光量が足りないとまともに撮影できなくなってしまう。ここで言う光量が足りないとは、「室内で撮る」とか「日陰で撮る」などを指していて、野外でも夕方になって太陽が隠れ始めたらその時点で使い物にならなくなるという、iPhoneのカメラに慣れているような人からすれば信じられないような世界になっている。
これを回避するにはF値、シャッタースピード、ISOの関係を理解して調整する必要がある。少し例を挙げてみる。シグマのカメラは他メーカーと違ってISOを400以上にするとノイズが乗り始めるため、自分は基本ISO100で固定している(いいのか?)。その状態で日陰に入ると光量が足りず画面が暗くなるため、シャッタースピードを落とすなどの対策が必要になる。シャッタースピードを落とす≒露光時間が長くなるためぶれ易くなるので、カメラを固定できる場所を探す、といった具合になる。自分も最初はこの原則が分からなかったので、安倍吉俊氏のブログを読んだり、以下のような図をみて勉強した。
最近「カメラの使い方を教えてほしい」という声が多いので、以前作った「カメラの基礎講座」も需要がありそうだなと。私がカメラを始めた頃に「もっとシンプルでまとまった資料があれば良いな」と感じていたものを形にしてます。カメラ始めたての人に知ってほしい。 pic.twitter.com/8Ay2cDHPZT
— つぼた|坪田将知 (@spot_tsubota) March 30, 2018
失敗例として以下の写真を挙げてみる。
これは一見モノクロ写真に見えるけれども、実は通常モードで撮影したもの。背景に薄っすら見える通りここは竹林の中で、光量が足りないせいで真っ暗になっている。dpでこういった場所で撮影するなら、三脚を用意して長時間露光などしないとダメらしい。
逆に、条件がハマった際のポテンシャルは素晴らしくて、植物であれば葉脈まで見えるほどの高精細な写真が撮れる。
遠景も良くて、下の写真は建物に当たった日の光と、陰になっている場所のコントラストがうまく出ている。
とまあ、ここしばらくはそんな感じで大量の写真を撮って過ごしていた。
しっかりとしたカメラを使うことで初めて気付くことはあって、最近はボケのことについてよく考える。ボケを使うとなんとなく良い写真が撮れたような気になってしまうが、これは要するに「撮りたかったもの」だけが写真に映り込むため完成度が高く見えるからなのだと思う。しかし、本来は構図が良ければ「撮りたかったもの」は伝わるのであって、安易なボケ使用は思考停止なのではないかと気づき反省した。それにノイズ扱いして隠した部分に面白いものが映り込んでいた可能性だってあるわけで、一枚の写真を楽しむ寿命を長くするのならば、ボケは強い意図がある場合を除いて封印した方が良い気がしている。
例えば以下は抽象的な画になっていてエモいけれど、実は撮りたいものが未定なまま撮影した曖昧な写真。悪くはないと思うけれど、これに頼りすぎるとスキルは上がらなそう。
とは言え、「なんだこれ?」と感じる捉えようのない写真に面白さが眠っているのも確かだとは思うので、ルーレットを引く感覚で大量にシャッターを切るのは続けていこうと思う。