20250211

20250211

3度目の恵比寿映像祭。が、疲労で朝から身体が重い…。今年はこれで最後にしよう。

角田俊也のパフォーマンスを見るつもりだったが整理券が切れており出鼻を挫かれる。展示室の音漏れから概要だけさらいつつB1へ。

一番奥にあった劉玗の《If Narratives Become the Great Flood》が今年一番のお気に入りになった。例えが悪くて申し訳ないが、化物語的なタイポグラフィ&CGを使って人間が登場する以前の神話世界をミニマル&プリミティブに表現するというもの。スクリーン前に置かれた土偶のようなオブジェクトを使ったプロジェクションマッピングも完成度が高くカッコいい。よくぞこれを日本に持ってきてくれた。

その一つ隣の部屋にあった斎藤英理の8ミリフィルムも良かった。ただただ美しい風景に見惚れてしまうが、なぜか人間関係の鬱屈にまつわるナレーションが乗っているのがユーモアがあって良かった。

最後に1Fホールで牧野貴《100年》×渡邊琢磨 弦楽五重奏ライヴを見る。

勉強不足で牧野貴さんのことを知らなかったが、The Intimate Starsにくらってしまう。特にOPに映る粒子の映像が印象深いが、暗室などの完全な暗闇に居る際に火花が見える経験の再現とのこと。瞼をつむると見えるチカチカしたあれのことだろうか。

20250215

森美術館のマシン・ラブを見る。

なかなかしんどい部分もあったがそれは後回しにして、良かったのが「デリバリーダンサーズスフィア」。Uberを思わせる配送サービスが現実の地形を無視した実現不可能なルートを配達員に提示する現象を、二人のキャラクターの対立として描く映像作品。あるシステムに触れ続けることで幻視する手触りを人間という形で描いているのがツボだった。(lainオタクっぽい感想)

キツかった部分として、ビデオゲームの均質的な仮想空間を、郊外の風景と絡めて語る作品が多すぎる。作品自体は良いが、六本木の森タワーという場所で郊外をネタにした作品を眺めるという構図の悪趣味さに腹が立ってしまった。田舎出身のお上りさんなのでね…。

20250222

東京寒い。

でも京橋へ。ENCOUNTERSを見る。

歩いてみると意外と知っている人・作品が多い。永田康祐、花形槙、大村高広…。文化庁からうまいこと資金調達しているクリエイターは多いのだなと知る。

そういえばコロナの頃にin the blue shirtが運営していたトマソンスタジオに文化庁の「文化芸術活動の継続支援事業」を適用できたという話もあったし、自主活動だとしても意外と国はお金を出してくれるのだったと思い出す。

何気にビデオゲームもいくつかあり、フツララさんのCultureHouseも声優さんの吹込み資金のために申請したらしい。

驚いたのは榊原寛の新作、『歴史の終わり』。UEの背景アーティストという認識だったが、今作はオープンワールド&シミュレーションというnot walking simulatorなジャンルに挑戦している。意外となかったタイプの手触りで好印象。頑張って完成させて欲しい。(アドバイザーがさわやかさんなのは笑ってしまった。批評家の助言って作家にとって助けになるのだろうか)

3時間かけて展示をチェックしたが、特に印象に残ったのは池添俊のスペクトラム。統合失調症患者の家族へのインタビュー映像と思いきや、視聴者を混乱させる意図不明のカメラワークや編集により定位感が失われて頭が痛くなってくる。だがそれが良い。

最後に藤堂さんの犬ロボットを見て帰ろうとしたが、人が多すぎてあまり見えなかったのが残念。子供の頃、帰り道にこういう凶暴な犬居たな…というフィーリングは受け取ったのでOKとする。

2025023

世田谷へ。森薫と入江亜季の原画展を見る。

圧倒…。

これまで好きな漫画家の原画展へ行っても心が動かなかったことも多々あり(荒木飛呂彦とか)、そのときその漫画のどこに惹かれていたのか自覚し直す。

その点森薫と入江亜季の二人は、生命力が込められた絵が魅力の殆どを占めるヤバい作家なのだと改めて理解した。心なしか他の来客者の熱量も高いように見えた。(帰り際に作家のQ&Aコーナーのパネルを写真に収める人がやたら多い)

売店で珈琲とフレグランス(入江亜季の友人がやっている店とのコラボ)を購入。

この珈琲を飲みながらイラストを眺めていると、Lo-Fi Hip Hopの気分になったのでサクッとつくってみる。

人間の気配を出したくなかったので、上モノは加えず、代わりに周囲の環境音が少しずつ変わっていくアレンジにした。そういえば初めてLiveで制作した曲もこんな感じの環境音を主役にしたビートものでした。

2025024

SIGMA Bf欲しい。欲しすぎる。私が金を持て余した中年なら即買っていたでしょう。

とは言え、自分の所持してるカメラはピーキー過ぎる性能であるdp Quattroのみであり、安心して使えるものを以前からもう一台確保しておきたいと思っていた。第一候補がSIGMA fpだったのだけど、その上位互換が登場してしまったのであえて古い方を選ぶ選択肢はない。

今は冷静な判断が出来ないのでしばらく寝かせる。とは言え4月には発売なんですが。

NIA編が登場したので少しずつ学マスを再開しているが、強化期間パフのおかげでついにFINALEを初クリア!手毬さんでした。

20250131

20250131

また1曲完成。今月は調子が良いです。

今回のテーマは2年前のサンレコウィークで公開された有村さんのサンプリング作曲の実践。ただし、リリースを切らないボーカルチョップは真似できない(手間がかかりすぎる)ので、オケ部分のみSplice素材のサンプリングで完結させることを目指した。

サンプリング主体で曲をつくると最初からサウンドデザインが済んでいるため楽なのだが、素材ありきでパズル的に組み上げることになるため曲の方向性やジャンルが行方不明になりがち。今回も序盤は迷子になりかけた。有村さんはこの辺どうしてるのだろう。

夜はZepp Hanedaでtofubeatsを見る。 

KREVAを始めとする豪華ゲストが次々と発表され、ハレ系の雰囲気だったら嫌だな…と謎の不安を感じていたが、MC無しで最初から最後までぶっ続けで曲を流すというクラブ仕様で大満足だった。中盤は照明を落として、下の動画で見れるようなグリッチを掛けまくる暗黒パートなどもやってくれて嬉しかった。

20250201

毎年恒例、恵比寿映像祭がスタート。例によって気になる上映が多く何度も通うことになりそう。

3Fの展示を幾つか見つつ、1Fの映画館でブリトニー・スピアーズの後見人問題など制度の欠点を広告的なタイポグラフィで告発する「トニー・コークス」や、サッフォーの詩に連想ゲーム的に映像を着けるマティアス・ピニェイロの「You Burn Me」を見た。

マティアス・ピニェイロ本人が来日しており上映後にトークショーがあったが、制作に使用したスクロールを客席に広げながら解説するなど大暴れ。サフォーの原著と「You Burn Me」というタイトルの差異への質問から始まった翻訳不可能性との向き合い方の話は興味深かった。

20250203

スティーブン・ユニバース ロスから抜けるために「我らクリスタルジェムズ」を耳コピ。

いつも音色選びに時間がかかるのだけど、今日はminilogueを使ったらすんなり完成した。ベースはデカいほうがカッコいい。

参考資料を集めている最中にこんな分析動画を見つけた。

「我らクリスタルジェムズ」のコード進行はⅠ→Ⅲ→Ⅳ→ⅳなので、ダイアトニックコードとノンダイアトニックコードが交互に登場することになる。この不安定さがこの曲をエモーショナルにしているとのこと。

言われてみると数ヶ月前に耳コピした「オレンジスケール」のAメロも同じ仕組みだ(あれは分数コードで不安定にしてたが)。簡単に真似できるテクニックなので使ってみたい。

20250209

風邪を引いて喉が痛い…。誤魔化しながら仕事をこなしなんとか週末に辿り着いた。

日曜はだいぶ具合が戻ってきたので2度目の恵比寿映像祭へ。

今日は2Fを見つつ、《冬の庭》+《3つの5windows》、新千歳空港国際アニメーション映画祭セレクションを見る。

新千歳空港国際アニメーションは今年も良い作品が多い。ツァイベイ・ツァイ《Sliver Cave》、ステファン・ヴィユマン《A Kind of Testament》が印象に残ったが、感想を書く元気がない…。気が向いたら後で書き足します。

20250119

20250119

in the blue shirt ✖️ 蓮沼執太のライブを見るために京都へ。

京都を歩くと東京にはない静けさと平らな道が楽しくて、ずっと散歩していたくなる。

サクッと適当な店で昼食をとってから、ギャラリー「PURPLE」へ。イ・スンヨルの写真を見る。

ネット上で探してきた建築物の写真を元にミニチュアで再現してからもう一度写真で撮り直すという工程を得ることで、新しい質感の平面芸術が生まれるという作品。吉田志穂もそうだが、この手の変換式を噛ませるような表現を自分は好きなことに最近気づいた。

展示と関係ないが、お店は雑居ビルの3Fにあり、2Fにあるダンス教室の音が漏れて聞こえてくるのが面白い。京都は高い建物を作れないので空き場所がなく、こういったミスマッチが生まれるのかもしれない。不思議と不快感はなく、東京のマキシマリズムに飽き飽きした自分には、真逆の保守的な京都のシステムから生まれる許容性が羨ましい。

ショップの写真本は非常に充実しており、特に赤赤舎の本がよく揃っている。海外から買い付けた傷物写真本の安売りコーナーがあったのも面白かった。東京のナディッフでは手に入らなそうなZINE的な本を中心に購入。いい買い物だった。

そういえば任天堂ショップの京都支店ができていたなと歩いて高島屋へ。

渋谷と違って人口密度低めでゆっくり品物が見れる。とはいえ持ち帰りたいと思えるものが殆ど無いな・・・、と帰ろうとしたところで任天堂ハードを模したガシャを発見!1回だけ回してこれをお土産にすることにした。(GCのCスティックが出た)

次は美術館エリアへ向かうが、早めの夕食でうどんをいただく。

京セラ美術館はすり鉢状に凹んだ地下エリアから入場させる建築に痺れた。今は蜷川実花の個展をやっていたが興味がない。トライアングルという無料展示スペースで「坂本森海:火と土と食べたいもの」だけ見て帰る。陶芸とクレイアニメを融合した映像&立体作品でこっちの方が私の好み。

その後隣の国立近代美術館のコレクション展へ。目当てはモンドリアン!何度も見ている気がするが一年に一度は会いたくなる。

たまたま見つけたパターン画が面白く写真を撮る。コロマン・モーザーの作品。

いつの間にか周囲は真っ暗になっている。良いバスがなく徒歩でメトロへ。途中知らずに熊野寮のあるルートを選んでしまいタテカンにおののく。

メトロは有名だが一度も訪れたことがなく、地下鉄通路からアクセスする導線に驚く。

Open時からDJがあることを知らず、18:00からのライブ開始直前に到着したせいですでに有村さんがプレイしている。

メインステージに蓮沼、通路側サブステージに有村が陣取る2ヵ所構成で、ライブに向けて奥に詰めていくと自然に有村さんの目の前に立つ位置に来てラッキー。

蓮沼曲をin the blue shirt風にアレンジした曲が次々に飛び出す。環ROYや羊文学など、トラック提供やアレンジで参加したものも含まれていた。機材を覗きたかったがステージが高く見えず。未だに「マシンライブ」が何なのか分かっておらず、勉強しないとあかんなと思う。終盤カオスパッドを触っているのが見えたが、あれはシンセリードのメロディと音色のどっちを弄っていたんだろう?

後半の蓮沼編へ。MCでは「有村くんは自分に影響を受けたとのことだが、自分の2つの面のうちいま有村くんがやらなかった方をやろうと思います。」と説明。レコードを流しながらシンセやピアノを被せるunpeopleリリースライブ型のパフォーマンスがスタート。一気にシリアスなムードへ。unpeopleのリリース時に谷崎純インチロウ的な「陽陰」の「陰」の作品と説明していたが、MCの説明はそういう文脈とと自分は受け取った。いつの間にか照明も落ちてどんどんビートに没入。かなり踊れた。

次にピアノパートへ。

EMCシンセに一定の間隔で電子音を鳴らさせるも、それとは異なる非同期なテンポで「ストローク」の弾き語りを重ねる。複数の時間が同時進行する。

「METROに多分初めてピアノが搬入されたとのことなので、たくさん弾いておきます」と説明しながら本格的な弾き語りゾーンへ。ピアノオンリーでの演奏と、ビートを加えた演奏と、二段構成になっており、やはり一癖ある。

アンコールではようやく二人でのトークが入る。

蓮沼「有村くんの蓮沼執太フィルカバーがオリジナルよりバズっていた。」有村「本家は絶対越えられない仕組みになっているので・・・」

というやりとりに有村節を感じる。

実は学生時代に有村さんは蓮沼さんに会っていたらしい。互いに客演に呼ぼうとするもライブ、卒業制作、etc.でスケジュールが合わず今に至り、呼んでも出てくれない嫌な先輩みたいになっていたとのこと。このシリーズ企画でもvol.1に読んでいたが神戸の展覧会と被りNG。vol.2でようやくブッキングに成功したという経緯らしい。

最後に二人でピアノ&エレキギターでONEMANを演奏。即興風でゆるさのあるパフォーマンス。この二人が一緒に曲をやっているのを見て勝手に感動してしまう。

最後に次回ゲストが発表されたが原口沙輔で「えっ」と声に出してしまった。豪華すぎる。

蜻蛉返りで東京に戻る。家に着く頃には日付も変わっていて明日は仕事。しんど。

20250125

150年を見に池袋へ。絶妙にアクセスし辛い場所のため、久しぶりに都電に乗った。

予約時刻通りに着いたが、関係なく大行列に並ぶことになり焦る。それでも20分くらいで入場できた。

「惑星ザムザ」も見ているので布施・田中 布陣シリーズは2度目。今回は工事用足場で複数の建物を渡り歩くという構成で、九龍城を思わせる迷宮っぷり。

場の面白さが強すぎて肝心の作品に集中できないという課題は感じるが、建物内に放棄された物を作品内に取り込むことでギリギリ成立していると感じた。

(後日、本展覧会の参加者から主催へのハラスメント告発があるなどザワついている状況。現時点で真相は分からないが、少数気鋭だからこそ成立した企画であるのは間違いなく、クローズな空間の良い面と悪い面がはっきり出た結果になった。なんとかうまい仕組みを作り上げて挑戦は続けて欲しいところ。)

20240104

20240104

正月を実家で過ごして東京に戻ってきたが、やることがなくて暇になる。アーティゾン美術館の営業が始まっているのに気づき毛利さんの個展を見に京橋へ。

何かのトリガーを受けて別の運動に変換するマシンがそこら中に配置され、かつそれらがケーブルで繋がっている。会場全体が一つの生態系になっているという意匠らしい。

マシンは音を媒体に稼働するものが多く、サウンドインスタレーション的な趣もある。坂本龍一展やevala展とはいい意味でズレがあると感じた。

20250111

U-NEXTでとうとうスティーブン・ユニバースを全話見てしまった。テーマソングを口ずさみながら泣いてます。

もともとシーズン4までをプライムビデオで見ていたものの、それ以降がCATV型の配信サービスであるブーメランのみで公開されるという厳しい状況のため視聴できていなかった。つまり、デビルマンをオマージュした残酷展開の末にスティーブンとラースが宇宙に誘拐されるクリフハンガーを見てから、4年も待ちぼうけしていたことになる。

全て見終わって思ったのは、家族がもたらす良い面と悪い面の両方を描こうとした作品なんだろうなということ。

シーズンごとに藤田和日郎作品並みに風呂敷が広げられていくが、そこではクリスタルジェムズのみでなく、ジェムズの故郷=ダイヤモンドの帝国すらも、スティーブンの母であるローズが存在することで上手く機能していた”家族(組織)”であることが明らかになる。スティーブンはクリスタルジェムズの面々に愛されているが、その一方でローズの代役を求められており、その重圧に苦悩することになる。最終話の後、U-NEXTの自動再生で劇場版が勝手に再生されたのだけど、そのイントロで今度はスティーブンがダイヤモンド帝国の王にされそうになっている展開には背筋が凍ってしまった。見た目のキュートさに反して、真綿で首を絞められるような息苦しさを常に感じさせる恐ろしいアニメだった。

日本のクラシックアニメの「世界を救う戦隊」な設定を持ち出しているものの、暴力なく話し合いでドラマを決着させたり、クイアな要素を取り込む手法は、クリスティーン・ラブの「Get in the Car, Loser!」を思い出したりした。(クラシックなJRPGのフォーマットでクイアな物語を展開するインディーゲーム。近藤銀河さんのインタビュー記事が詳しい。https://jp.ign.com/get-in-the-car-loser/56725/interview/rpgget-in-the-car-loser)

20250112

ソフィ・カルを見に三菱一号館美術館へ。原美術館の「限局性激痛」以来。

キャプション芸を見て「ソフィ・カルってそういえばこうだったわ~」と記憶が蘇る。

新宿でつけ麺を食べてから新宿ビデオマーケットへ。篠崎監督の短編集を買ったら「地獄の警備員」の絵コンテがおまけで付いてきて嬉しい。

20250113

だらっとYoutubeを見ていたら、異様な形状のピアノの動画が出てきて思わず二度見してしまった。

ヤンコピアノといって、転調しても同じフォームで引き続けられる設計になっているらしい。ピアノとギターのIFの違いを埋めるような発想で面白い。

肝心のDTMの勉強だが、長らく耳コピばかりで曲を書いていない状況が続いていたので、1週間くらいで1曲つくってみた。

本当は歌ものにする予定だったが、作詞が上手くいかなすぎてプロジェクトを捨てそうになったので、ラララのままwav書き出して終わらせた。次回頑張ります。

あと、正月に実家でコツコツ作っていた「忘れられないの」の耳コピも公開。ベースラインのコピーに苦心した。草刈さんは最高。

しかしDTMに時間を割きすぎて、ビデオゲームをやれていないことに罪悪感がある。サイレントヒル2も映画館でエディーと話してから進められてないよ。

20241117

20241117

博多から帰ってきたばかりだが外出。目白で飯川雄大と大岩雄典の2人展を見る。

大岩さんは最近ゲームの分野にも手を広げられているが、今回のテーマは決闘。宝くじを1枚買って来て譲渡すると、大岩さんとの決闘に挑むことができる。とは言えその内容も一癖あり、挑戦者はランダムに配置された「偽薬」と「風邪薬」の片方を選び2人で飲み込むというもので、どちらがハズレを引いたのかはその場では知ることができない。

ちょうど会場に入ったところで決闘が始まったので観戦したが、この瞬間に会場にいた人がぞろぞろと集まり出したのを見て、これ自体がパフォーマンスに含まれているなとゾクリとする。そして勝敗はやはりよく分からないまま解散になり、胴元に宝くじが集まる。

参加に必要な宝くじの売り場は目白には無いという説明を聞いて、もう一つの目的だったエーグルドゥースに並びながらどうするか考える。若木先生のブログに度々名前が出るので一度は訪れたいと思っていた。購入まで30分くらいかかったが、東京の洋菓子店はどこも似たようなものである。帰宅してから頂いたが衝撃的な美味しさだった。

結局決闘に参加することに決めて、お隣の高田馬場で人生初の宝くじを購入。すぐに目白に戻って大岩さんに決闘を挑む。3枚分の誓約書(本人、大岩さん、ギャラリー用)を書いたのち、薬を選んで飲み込んだ。やはり見た目からは違いが分からず当てずっぽうになった。大岩さんに「風邪薬を大量に飲んでいる可能性もありますが大丈夫ですか?」と聞いてみたが、よほどハズレを引きすぎない限りは一日の摂取限界に納まるとのことでそこは計算しているらしい。

帰り際に壁に並んだ大量の宝くじを眺めながら、これでどれくらいの当たりがあるのだろうと考えてしまった。

今は家でこの文章を書いているが、ちょうど今強烈な眠気に襲われている。しかし、ハズレを引いたのか、1週間の疲れがどっと来たのかは判断がつかず、モヤがかった気分のままでいる。

20241124

写真美術館でアレック・ソスと新進作家展を見る。

狙ったのかは分からないが、新進作家展の原田さんの展示は完全に「A Pound of Pictures」でニヤリとしてしまった。キャプションによると、デシタル写真の台頭でこういった写真が物理で手に入る時代は終わりつつあるらしい。

肝心のアレック・ソスは、前年の葉山と比べると規模の関係でどうしてもパワーダウンを感じる。葉山では会場の広さを活かして8×10の巨大写真を大きく展示していた(これが本当に良かった)。ここでは等間隔の壁を置いて同じサイズの小部屋をたくさん作るという一番シンプルな構成で、前回が体育館なら今回はアパートくらいのスケールの違いがある。タイトルも「部屋についての部屋」だし実際小部屋に見立てているのだろう。少々寂しい印象はあるが、好きな作家の写真は何度見ても良いので満足した。

20241128

デコニーナさん新作のMVにショックを受ける。情報のレイヤーを越えてモーショングラフィックスの世界に突入する演出、あえて下品さを取り込むもトリートメントして食い易くするスタイルなど、橋野ペルソナ的な良さがある。新譜のTRANSFORMも聞いてみたけど昨今の音像を狙って取り込んだ曲が多く、ベテラン含めてボカロ界隈全体が勢いづいているのを感じる。(10年代半ばの停滞感はヤバかったので)

20241130

フジファブリックの「若者のすべて」をコピー。最近はhirihiriさんのfanboxに登録して音作りを勉強しているのだけど、その成果を出すべくエレクトロニカ的なアレンジに挑戦した。

夜はWWWXで蓮沼執太のSCPを見る。sing、club、pianoの3部構成のライブ。写真は客席に搬入されたグランドピアノ。

歓喜してしまったのはclubパート。初期の蓮沼執太はリアルタイムで追えてないので、Hooray辺りのエレクトロニカ曲をクラブで聞ける貴重な機会だった。今度メトロでやるin the blue shirtとのライブもこのスタイルなのかしら、と帰り道で考えていたが、有村さん&ゆnovationが会場にいた事を後で知る。気づかなかったー。

20241205

この辺りから仕事のストレスでブログをリアルタイムで書く元気が無く、後追いで簡素に一気書きしたものになる。

年末恒例の音楽サブスクサービスからのまとめ情報が送られてくる。

マルチネファンボーイみたいになってるな…。

tofubeatsが1位なのは予想通りだが、細野晴臣を長時間聞いているのが意外だった。Radio Sakamotoが無くなってからDaisy Holidayや細野曲を積極的に聞くようになったが、その余波が出ている気がする。

20241207

ギャラリー巡りの日。小泉明郎の彫刻は、安倍総理暗殺事件の写真から着想を得ているとのこと。

20241208

荒川ナッシュ医の個展へ。来場者が美術館の床に絵を描いている光景を見れただけでチケット代の元が取れる。

赤ちゃんは無事産まれたそうでカウントダウンイベントは終了済み。1E展示室で富井玲子&森大志郎をゲストに迎えたレクチャーイベントに参加した。写真の右側に人が集まっているのは、森さんがお土産としてポスターを無料で配布し始めたため。(あっという間に在庫切れになった)

20241215

山下達郎の「SPARKLE」をコピー。あの特徴的なカッティングギターを何で代用するかでかなり悩んでしまった。というかギター弾きたくなってきたな…ギター買っちゃう?

20241222

坂本龍一展へ。DVDでしか見たことのなかったLIFEのインスタレーションを遂に肉眼で見ることができた。これが最初で最後ではなかろうか。

また私の好きな作家である岩井俊夫さんと組んだ作品があるのは知らなかった。エフェクトがエレクトロプランクトンと同じで笑ってしまった。

オペラ「LIFE」はゴダールや雑誌「LIFE」のイメージだったらしい。実物見れてないので知らんけど!

20241103

20241103

三連休2日目。ICCへ。

細井美裕氏の参加した作品が一番の目当てだったが、スピーカーが壁に向けて配置された異様な光景が広がっていてドン引き。音響という点では長谷川白紙が参加した米澤柊の映像作品も良かった。(天井にもモニタがある)

思わぬ収穫だったのが、リー・イーファンとリー・ムユン。この2人の他の作品がどこかで見れないか後日探してみよう。

20241109

待望の「野狗子」が発売。

異様にメディア前評判が悪かったが、触ってみるとベテラン開発者達の知見が詰まった手堅い作品という風にしか見えず感覚の乖離が大きい。今のところめちゃめちゃ楽しいですよ。

「憑依」というメカニクスを応用して様々なシチュエーションを作り飽きさせないようにしたり、同じミッションに分岐を用意してもう一度遊ばせるSIRENのストリーテリングの復活など、予算の無さを逆手にとった工夫がよく機能していると思う。強いて言えば、自分が過去に語ってきたような外山さんのメディアアート的なアプローチがあまり見られないところが気になるくらい。最終的な評価はそこで左右されそう。

20241110

「シーラカンスと僕」を耳コピ。超シンプルな白玉アコギ弾き語り。

実は先日、Youtubeのサジェストに出てきた長瀬有花の弾き語り配信を見ていたら「シーラカンスと僕」をやっていて、それが不覚にも沁みてしまったので自分でもトライ。いつもは勉強も兼ねてオーディオエフェクトを盛りまくるのだけど、眼の前で弾き語りを聞いている距離感を出すために、ボーカルにリバーブもディレイも一切かけない素そうめんミックスにした。

サカナクションの曲はギターで作曲されたものが多いので、弾き語りアレンジはやはりハマる。DTMの勉強にはあまりならないが、これはこれで良し。

夜にピアノ男氏がvlogを更新していた。

Smile Videoに出演しつつもこれからは真面目になる発言をされていて真意が謎だったが、世間のメインストリームがMAD的なお巫山戯な態度に汚染されているのを見て逆に行こうという考えらしい。自分的には極端にシリアスな人と極端にチョけケている人に二極化してる感覚なんだけど、これもまたネットメディアを介して世を見すぎているフィルターのかかった意見かもしれない。

とりあえず新作EP制作中とのことでそちらに期待。

20241112

昨晩、旅行の準備を進めていたところ、Macbook Airの電源が入らないことに気づく。問い合わせ窓口に書かれている対策を一通り試すも復活せず、もう有償修理に出すしかないらしい。物持ちが良すぎて9年間も使い続けたので真っ当に寿命を迎えたのだと思う。今までありがとう・・・。

自分の旅は基本アドリブで、次の行き先を夜にホテルで考えるスタイルなのだけど、このときにPCが無いと情報収集が進まずに困ってしまう。スマホでの代用も考えてみたが、小さい画面との格闘で疲弊することが目に見えているので、先にPCを新調することにした。ちょうどMacbook AirはM3チップ版が半年前に出たところなのでタイミングもちょうどいい。(来春にM4チップ版が出るという噂もあるが…)

最初にヨドバシへ向かったが、望みのスペックのものは在庫が無く取り寄せが必要と言われる。そこで普段は全く行かないApple Storeをおそるおそる訪ねたところ、「全色在庫あります」とあっさり返され、無事その場で購入できた。自分にとってはかなり高額の買い物にも関わらず、余計なことを聞かないApple Store店員のおかげで数十分で開放され、狐に化かされたような気分で帰路についた。(領収書はApple ID連携でメールアドレスに届くので、レシートすら受け取らずに済むのには恐れ入った)

20241020

20241020

いよわさんの「オレンジスケール」を耳コピした。

先日のユリイカをきっかけに他アーティストへの提供曲を聞いていた中で知った曲。マジックアワーという中間の時間帯を分数コードで表現しているのが面白い。譜面のみでなくミックスもできる限り真似てみた。

耳コピの疲れで身体が重く、もう家で1日中ダラダラするかという気分になっていたが、蓮沼執太のフリーライブがあると聞き午後から六本木へ。

建築家が子供のために作った木造のオブジェの前でゆったりセッションをやろうという企画。あらゆるものを楽器に変えてしまうことに定評のあるパーカッションの宮坂さんは案の定遊具をバチで叩いていたが、鈍い音しか出ず蓮沼執太曰く「地味な感じ」になっていたのが笑えた。演奏の最中、子どもたちが奏者のすぐ横を駆け回っていたりと開かれた空気に癒やされた。

ところで肝心のオブジェは危険な高さまで子どもたちが登れてしまう仕様なのだが、それを近くにいるスタッフがいちいち止めていたのが目についた。建築家の意思を尊重して円盤が公共空間に刺さっているようなこの造形が採用されたのだろうが、安全を確保するには監視員を置くしかなく、誰かがお金を出してくれる六本木のような一等地でしか成立しないことが表面化しているのが少し悲しかった。

20241026

新しい掃除機が届く。奮発して買ったダイソンの最新型!

就職してすぐの頃はハンディ型を購入する資金がなく、ずっと床を這う掃除機を使っていた。壊れないからという理由でそのまま幾星霜…という定型パターンに突入していたので面倒くさがる身体に鞭打って選定、購入まで漕ぎ着けた。

正直に言うとダイソンのくせに吸引力は弱い印象。しかしバッテリー稼働なのでコンセントを気にせず自由に移動でき、あっという間に掃除が終わって感動。やはりもっと早く買い換えればよかった。

セッティングでクタクタだが、夜は青葉市子のコンサートを見に三軒茶屋へ。

弾き語り構成のライブは何度か見ているが、今回はオーケストラ編成。実はハープとコントラバスの音を生で聞くのは初めてで、これらのパートばかりに聞き耳を立ててしまった。ちなみにアレンジは梅林太郎が担当。ラストは青葉市子と梅林が2人で一礼して締めだった。

青葉市子はいつ見ても優雅な人で、退場の際に一人スキップで去っていったのが忘れられない。妖精?

20241028

運悪く小雨に打たれながら投票を済ませる。久しぶりにバッハに立ち寄り、あまりの分厚さに敬遠していた大谷能生の「歌というフィクション」を少しだけ読んだ。導入が長く挫折しそうになったので、後半の興味がある章をいきなり開いたり、また戻ったりしながら楽しみ方をざっくり把握。時間は掛かりそうだが最後まで行きたいところ。

帰ってメタファーのつづきをプレイ。最終ダンジョンらしき場所に辿り着いたが、今のところ選挙ネタがなんのためにあったのか分からなすぎる踏み込みの浅さが気になる。

20241101


メタファーをクリア。60時間の旅。

正直、これは新規IPではなくペルソナ6ですね!という感想になってしまう。自分はペルソナ5の時点でゲームメカニクスの変化の無さにうんざりしていた人間なので、STUDIO ZEROが立ち上がった際は橋野さんも同じ考えなのかなと予想していたが、的外れだったことが分かった。P4の後の「キャサリン」があんなに独創的だったことを思うと、そもそも大きな予算をかけた作品ではうまく冒険できないという裏事情があるのだろうと思う。世知辛い…。

20241102


吉田志穂の新作展示&トークショーを見るために東京駅へ。

この日は大雨が降って西日本新幹線のダイヤが崩れるなど騒ぎになっていたが、ちょうど家を出るタイミングで前線が東京まで流れて来ており、駅までの道で靴がぐしゃぐしゃに濡れてしまった。この状況で会場にどれぐらいの人が辿り着くのか気になっていたが、まさかの満席。流石木村伊兵衛賞作家。

以下、メモ。

  • 幽霊はイリミナルスペース、昨今のホラーブームからのインスパイアもある。
  • 写真とゴーストは縁がある。レンズフレアのことをゴーストという。
  • GoogleMapが時間のズレで幽霊船を生んだ事件が大きなインスピレーションになっている。展示している作品の中でも扱っている。
  • インターネットには空洞というイメージがある。携帯でサイトがなかなか開かなかった時代を引きずっている。
  • オフセット印刷した紙を3500枚重ねて展示した。全ての印刷結果が異なるようにしている。側面を見ると色が一致しないのが分かる。
  • 天井が高く空間も開けており会場であり展示方法は迷った。模型を作って計画した。
  • まず壁を1個置かせて貰った。天井の高さを使うことにした。資生堂ギャラリーも天井が高かったが、お金がなくて作品数を用意できなかったのでリベンジ。
  • 壁のグレーの部分は作品の領域を示している。フォトショップ上で緻密に計算している。
  • 物質としての写真に関心がある。自分は学校でトラディショナルな写真の教育を受けた人間。写真は全てフィルムで撮る。スクリーンショットは使わない。
  • 学校では写真が足りなければ100枚でも500枚でもとにかく撮ってこいと言うトラディショナルな教育を受けた。(同じ学校に通う学生が観客におり、今もそうだとのこと。へえー。)

20241006

20241005

「みんな大好き塊魂」のサントラとゲーム本編がサブスク解禁されて、塊魂熱が再発。その流れで「Everlasting Love」を耳コピしてみた。

原曲はギターが印象的だけど打ち込みでの再現は厳しい。早々に諦めて、ファミコン音源とCR-78でチープに仕上げた。良いアレンジが思いつかず沼ったので、サンクラに投稿して無理やり終わったことにした。

コードもリズムも驚くほどシンプルで、なぜ子供の頃の自分が親しみを感じて聞き込んでいたのがよく分かる。

20241006

天気が良くなってきたので午後から「HAPPYEND」を見に行く。

空音央が監督した坂本龍一のコンサート映画が異様な仕上がりだったので期待していたが、劇映画が初めてとは思えない美しいショットが次々に飛び込んでくる一方で、魅力的なキャラクターらが腸を見せないままさらっとEDに到達してしまい肩透かしな印象が否めなかった。(作中の校長じゃないが)なんて勿体ない・・・。未来の日本の荒廃具合には共感しかないが、その陰鬱なトーンに対して主人公2人のズレをはっきりと描かないのはどうなんだと感じてしまった。

インタビュー記事を漁っていたら、メインキャストらの距離を近づけるためにワークショップをした話があった。空音央は俳優ではない人らを採用するにあたって濱口監督に相談をしていたらしいが、この辺りに影響があるのかも知れない。

最後にどうでもいいことだがが、公式サイトの空音央の写真が異様に解像度が低いのがちょっと面白い。でも笑顔最高。

20241008

サイレントヒル市へ行こう!

外山さんディレクションの1作目しか触れたことが無いという距離感なので、新鮮な気持ちでプレイ。基本的にBGMが無く、細やかな物音でプレイヤーの注意を引く繊細なサウンドデザインが良い。Bloober TeamはMEDIUMがイマイチで距離を置いていたけど、本作は素晴らしい仕事をしていると思う。そろそろメタファーも来るので大渋滞になりそうだけど、今年のうちにクリアしておきたいところ。

20241012

写真家に会いに行こう!

行けませんでした・・・。整理券の配布時間前の時点で、制限人数以上の行列が出来てたらしい。アレックソスの人気を読み違えた・・・。

仕方ないので引きこもってDTMに打ち込む。

Youtubeを開くとトモコスガさんがアレック・ソスの写真集を読む動画を上げていたので視聴。まんまとソスの写真集が欲しくなる。

あと、メタファーをぼちぼち進めている。

序盤こそ王道JRPG的なストーリードリブンの進行になっていたが、カレンダーシステムが登場した辺りで皮がファンタジーなだけのペルソナになってしまいマンネリ気味。安心の面白さではあるが、これでは新規IPをせっかく立ち上げた意味がない・・・。

20241013

森美術館でルイーズ・ブルジョワ展を見る。思い出すのは塩田千春展のことで、あの時のようにトラウマを可視化させるような作品が巨大な空間を埋め尽くしている。穿った視点かもしれないが、女性アーティストにはカギ括弧付きの「女性ならでは」な作品を作らなければ美術界にうまく評価されない時期があり、結果的にそのドアを潜った作家の回顧展がいま森美術館のような場所で開催される流れがある気がした。

そんな話は置いといて、展覧会でまとまった数の作品を見て気づいたのは布素材を扱った作品が多いこと。

ストレートな刺繍の作品もあるし、また有名な巨大蜘蛛の作品にも実は布がくくりつけられたものがある。母親が刺繍工場で働いていたことが関係しているらしい。

MAMスクリーンのリアル・リザルティの映像も良かった。コンテナ工場やサムスンのオフィスなど、テック企業により生まれた無機質な光景の映像をバックに、そこに幽霊が出現する物語が語られるという、シルバー事件的な作品。

夜は自転車でToken Art Centerへ行き、三好彼流の新作パフォーマンスを見た。見慣れたギャラリーがえげつない場に変貌していて到着した瞬間から感動。パフォーマンス本編も素晴らしかった。表と裏が・・・あぁ・・・。

20240922

20240922

自宅でAbleton and Max Community Japan #054「音の採掘と音楽構築のアンチ・チュートリアル 2」を見る。出演は Pause Cattiさん。

Pause Cattiさんはエクスペリメンタルな音楽を制作するミュージシャン。DAWやサンプラーから生み出した実験的な音を集めて、どうやって音楽に仕立てていくかというお話。

普段実践している工程は5つに分けられ、マイニング、ストレージ、スナップショット、コンポジション、アジャストメントとなっている。曲者なのがコンポジション(作曲)で、Pause Cattiさんは風景を思い描いてストーリー仕立てに素材を並べることで前述のような楽曲が出来上がっているとのことだったが、この部分に飛躍があり、なかなか真似するのは難しいと感じた。

Q&Aで印象深かったのが、来場者から「私はピアノ教室で西洋音楽の知識を叩き込まれたが、そこから解き放たれた自由な作り方だ」というコメントがあった際に、松本さんが「私にはむしろ西洋音楽的を通過した人でないとやらない構成の仕方に聞こえる」と返していた場面。Pause Cattiさんも西洋音楽で訓練されてしまったので抜け出せないと否定しないニュアンスで答えられていた。薄っすら分かっていたことだが、型なしの作曲法などではないのだろう。

最近ユリイカでの特集に備えていよわさんを聞き込んでいるが、前衛をやるためにむしろ型が必要という聞き飽きた概念について、一度向き合わないとマズいのかもと感じ始めている。

20240925

デューク宮沢さんの新曲が出ていた。いい味が出てる。

デューク宮沢さんは毎回MVにガンガンAI素材を使っているのに、無機質に感じさせない仕上がりになっているのが面白い。高度なテクニックが使われている訳でもないが、楽曲にどんな映像をぶつけるかという編集の意図が思いの外伝わりよい臭みになっている。(それってつまりMAD動画的な良さなのでは)

20240928

曇り空のなか、ゆりかもめに乗ってお台場へ。小泉明郎の「縛られたプロメテウス」がお目当て。会場はメルセデスベンツのショールームで、車に興味のない自分がここにいる場違い感が一周回って楽しくなっていた。

小泉明郎はヘッドセットを着用する作品を以前にも出しているが、今回は周りの景色が透けて見えるMR型。初めのうちは鑑賞者は会場を自由に歩くことがあることが出来るが、中盤で意図的に視界を奪うことで動けなくするタブー的な演出が用いられる。商品としてのVRコンテンツではあり得ない、自覚的に鑑賞者を嫌な手つきで制御下に置く小泉作品の真骨頂がここに出ていたと思う。あなたは動く彫刻です・・・。話題になっていたマジックミラー室の演出も大変気味が悪く満足した。

その後は少し休憩してから映画館へ移動し「cloud」を見た。しかしどうも相性が悪く、「リアル」以来のうまく楽しめない黒沢清映画になってしまった。不気味な映画は歓迎だが、本作はどちらかと言えば浅ましい人間が続々出てくるというもので、全てが薄っぺらい感じが耐えられなかった。

帰宅して「TUNIC」をクリアする。調べたところ、重要な謎解きを済ませたときに突入できる真エンドの方に最初から到達してしまった模様。満足度はやはり高くなく、「ラ・ムラーナ」や「Witness」のカジュアル版という印象のままだった。残念。

20240930

「ユリイカ特集=いよわ」の中に、リリックビデオの歴史を整理しつつ、いよわ作品のアニメーションを考察するという面白いコラムがあった。(「レイヤーとキャラクター いよわのアニメーションについて 米原将磨」)

紹介されていたMVをYoutubeで確認しながら読み進めたのだけど、その際に集めたリンクをここにまとめておく。

その歴史を簡単に振り返ると、初期の例としてはボブ・ディランが歌詞に合わせて手元のフリップを次々に投げ捨てていく“Subterranean Homesick Blues”が挙げられる。

いよわ; 横川理彦; 原口沙輔; はるまきごはん; しぐれうい; 名取さな木澤佐登志; ナクヤムパンリエッタ. ユリイカ2024年10月号 特集=いよわ――「1000年生きてる」「きゅうくらりん」から「熱異常」、そして「一千光年」先…ボーカロイド文化の臨界点へ (p.262). 青土社. Kindle 版.

八〇年代にはプリンスの“Sign o’ the Times”において、キネティックタイポグラフィが歌詞のメッセージ性を強調するために使われた。

いよわ; 横川理彦; 原口沙輔; はるまきごはん; しぐれうい; 名取さな木澤佐登志; ナクヤムパンリエッタ. ユリイカ2024年10月号 特集=いよわ――「1000年生きてる」「きゅうくらりん」から「熱異常」、そして「一千光年」先…ボーカロイド文化の臨界点へ (p.262). 青土社. Kindle 版.

一つ目は、それまでのファンメイドのリリックビデオを彷彿とさせるような、一定のタイミングで、画面中央から下部に歌詞を表示し、背景画面は静止画のタイプのものだ。

いよわ; 横川理彦; 原口沙輔; はるまきごはん; しぐれうい; 名取さな木澤佐登志; ナクヤムパンリエッタ. ユリイカ2024年10月号 特集=いよわ――「1000年生きてる」「きゅうくらりん」から「熱異常」、そして「一千光年」先…ボーカロイド文化の臨界点へ (p.263). 青土社. Kindle 版.

二つ目は、キネティックタイポグラフィを用いて、レイヤーのバリエーションも音楽に合わせて変化させていくタイプのものだ。例えば、二〇一〇年に発表されたCeeLo Greenの“Fuck You”がその代表だ。こちらは、色彩の変化、レイヤーの切り替え、キネティックタイポグラフィの利用という観点から、アニメーション型と名付けよう。

いよわ; 横川理彦; 原口沙輔; はるまきごはん; しぐれうい; 名取さな木澤佐登志; ナクヤムパンリエッタ. ユリイカ2024年10月号 特集=いよわ――「1000年生きてる」「きゅうくらりん」から「熱異常」、そして「一千光年」先…ボーカロイド文化の臨界点へ (pp.263-264). 青土社. Kindle 版.

ところで、ボーカロイド文化におけるMVもまた、おおよそこのフリップ型とアニメーション型の二つが発展していった。

いよわ; 横川理彦; 原口沙輔; はるまきごはん; しぐれうい; 名取さな木澤佐登志; ナクヤムパンリエッタ. ユリイカ2024年10月号 特集=いよわ――「1000年生きてる」「きゅうくらりん」から「熱異常」、そして「一千光年」先…ボーカロイド文化の臨界点へ (p.264). 青土社. Kindle 版.

ここにおいて、歌詞はキネティックタイポグラフィを用いて表現され、また、アニメーションには初音ミクを想起させるツインテールの少女が登場する。わずか一カ月でこうした型の変化を見せたボーカロイド文化では、その初期からフリップ型とアニメーション型はボカロPの表現と影響を受けた別の制作者の方向性ごとに多様に選び取られていったと言える。

いよわ; 横川理彦; 原口沙輔; はるまきごはん; しぐれうい; 名取さな木澤佐登志; ナクヤムパンリエッタ. ユリイカ2024年10月号 特集=いよわ――「1000年生きてる」「きゅうくらりん」から「熱異常」、そして「一千光年」先…ボーカロイド文化の臨界点へ (p.264). 青土社. Kindle 版.

目まぐるしく展開するレイヤーの入れ替えによって、フリップ型にはまったく感じられないように工夫されている。いよわはこうしたレイヤーコントロールによってリリックビデオを作り上げている。

いよわ; 横川理彦; 原口沙輔; はるまきごはん; しぐれうい; 名取さな木澤佐登志; ナクヤムパンリエッタ. ユリイカ2024年10月号 特集=いよわ――「1000年生きてる」「きゅうくらりん」から「熱異常」、そして「一千光年」先…ボーカロイド文化の臨界点へ (p.267). 青土社. Kindle 版.

リリックビデオ・楽曲・歌詞のすべての表現内容が対応している点で、「無辜のあなた」はいよわのリリックビデオを論じるさいに注目すべき特徴をすべて兼ね備えている。

いよわ; 横川理彦; 原口沙輔; はるまきごはん; しぐれうい; 名取さな木澤佐登志; ナクヤムパンリエッタ. ユリイカ2024年10月号 特集=いよわ――「1000年生きてる」「きゅうくらりん」から「熱異常」、そして「一千光年」先…ボーカロイド文化の臨界点へ (p.268). 青土社. Kindle 版.

水滴が落ちているのではなく、矩形レイヤーに水滴の形をしたマスクをほどこして、背景を断続的に露出している。つまり、これは、これまで見てきたような赤い矩形レイヤーを付箋のように被せてみせるのと同じ原理で動作している。

いよわ; 横川理彦; 原口沙輔; はるまきごはん; しぐれうい; 名取さな木澤佐登志; ナクヤムパンリエッタ. ユリイカ2024年10月号 特集=いよわ――「1000年生きてる」「きゅうくらりん」から「熱異常」、そして「一千光年」先…ボーカロイド文化の臨界点へ (p.269). 青土社. Kindle 版.

「クリエイトがある」(二〇二四)といった最近の作品では、もはや矩形レイヤーを見ることはない。ただし、これまで述べてきたようなレイヤーコントロールの技法で成立している。

いよわ; 横川理彦; 原口沙輔; はるまきごはん; しぐれうい; 名取さな木澤佐登志; ナクヤムパンリエッタ. ユリイカ2024年10月号 特集=いよわ――「1000年生きてる」「きゅうくらりん」から「熱異常」、そして「一千光年」先…ボーカロイド文化の臨界点へ (p.269). 青土社. Kindle 版.

クローバーの葉をかたどった少し明るい柳煤竹色(カラーコードは16進数で4A6547)のレイヤーが回転している。このモーションの開始は素早く、終わりは緩やかだ。つまり、イージングアウトだ。

いよわ; 横川理彦; 原口沙輔; はるまきごはん; しぐれうい; 名取さな木澤佐登志; ナクヤムパンリエッタ. ユリイカ2024年10月号 特集=いよわ――「1000年生きてる」「きゅうくらりん」から「熱異常」、そして「一千光年」先…ボーカロイド文化の臨界点へ (pp.272-273). 青土社. Kindle 版.

つまり、いよわのMVキャラと同じ程度には、いよわの用いるレイヤーのパターンもある種のキャラクターのように機能してしまっている(17)。これは「あだぽしゃ」(二〇二一)の動画時間三九秒と一分三九秒で顕著に見られるように、登場するキャラクターの色を透過させ、輪郭線を背景レイヤーから浮かせるようにしていることも傍証になるだろう。

いよわ; 横川理彦; 原口沙輔; はるまきごはん; しぐれうい; 名取さな木澤佐登志; ナクヤムパンリエッタ. ユリイカ2024年10月号 特集=いよわ――「1000年生きてる」「きゅうくらりん」から「熱異常」、そして「一千光年」先…ボーカロイド文化の臨界点へ (p.273). 青土社. Kindle 版.

また、予備動作がないため次に来たポーズが前のポーズからどんな連続性をもった運動なのかわからないのだ。そうすると、鑑賞者の視点は別のところに移る。それは、落下のイージングとスプリングだ。

いよわ; 横川理彦; 原口沙輔; はるまきごはん; しぐれうい; 名取さな木澤佐登志; ナクヤムパンリエッタ. ユリイカ2024年10月号 特集=いよわ――「1000年生きてる」「きゅうくらりん」から「熱異常」、そして「一千光年」先…ボーカロイド文化の臨界点へ (p.274). 青土社. Kindle 版.

はい。お疲れ様でした。

ちなみに私の好きないよわさんのMVは「クリエイトがある」です。創作物の中に埋没しているトライ&エラーの時間の層がほぐされて、ふわっと浮き上がってくるマジックがあると思います。