20241020

20241020

いよわさんの「オレンジスケール」を耳コピした。

先日のユリイカをきっかけに他アーティストへの提供曲を聞いていた中で知った曲。マジックアワーという中間の時間帯を分数コードで表現しているのが面白い。譜面のみでなくミックスもできる限り真似てみた。

耳コピの疲れで身体が重く、もう家で1日中ダラダラするかという気分になっていたが、蓮沼執太のフリーライブがあると聞き午後から六本木へ。

建築家が子供のために作った木造のオブジェの前でゆったりセッションをやろうという企画。あらゆるものを楽器に変えてしまうことに定評のあるパーカッションの宮坂さんは案の定遊具をバチで叩いていたが、鈍い音しか出ず蓮沼執太曰く「地味な感じ」になっていたのが笑えた。演奏の最中、子どもたちが奏者のすぐ横を駆け回っていたりと開かれた空気に癒やされた。

ところで肝心のオブジェは危険な高さまで子どもたちが登れてしまう仕様なのだが、それを近くにいるスタッフがいちいち止めていたのが目についた。建築家の意思を尊重して円盤が公共空間に刺さっているようなこの造形が採用されたのだろうが、安全を確保するには監視員を置くしかなく、誰かがお金を出してくれる六本木のような一等地でしか成立しないことが表面化しているのが少し悲しかった。

20241026

新しい掃除機が届く。奮発して買ったダイソンの最新型!

就職してすぐの頃はハンディ型を購入する資金がなく、ずっと床を這う掃除機を使っていた。壊れないからという理由でそのまま幾星霜…という定型パターンに突入していたので面倒くさがる身体に鞭打って選定、購入まで漕ぎ着けた。

正直に言うとダイソンのくせに吸引力は弱い印象。しかしバッテリー稼働なのでコンセントを気にせず自由に移動でき、あっという間に掃除が終わって感動。やはりもっと早く買い換えればよかった。

セッティングでクタクタだが、夜は青葉市子のコンサートを見に三軒茶屋へ。

弾き語り構成のライブは何度か見ているが、今回はオーケストラ編成。実はハープとコントラバスの音を生で聞くのは初めてで、これらのパートばかりに聞き耳を立ててしまった。ちなみにアレンジは梅林太郎が担当。ラストは青葉市子と梅林が2人で一礼して締めだった。

青葉市子はいつ見ても優雅な人で、退場の際に一人スキップで去っていったのが忘れられない。妖精?

20241028

運悪く小雨に打たれながら投票を済ませる。久しぶりにバッハに立ち寄り、あまりの分厚さに敬遠していた大谷能生の「歌というフィクション」を少しだけ読んだ。導入が長く挫折しそうになったので、後半の興味がある章をいきなり開いたり、また戻ったりしながら楽しみ方をざっくり把握。時間は掛かりそうだが最後まで行きたいところ。

帰ってメタファーのつづきをプレイ。最終ダンジョンらしき場所に辿り着いたが、今のところ選挙ネタがなんのためにあったのか分からなすぎる踏み込みの浅さが気になる。

20241101


メタファーをクリア。60時間の旅。

正直、これは新規IPではなくペルソナ6ですね!という感想になってしまう。自分はペルソナ5の時点でゲームメカニクスの変化の無さにうんざりしていた人間なので、STUDIO ZEROが立ち上がった際は橋野さんも同じ考えなのかなと予想していたが、的外れだったことが分かった。P4の後の「キャサリン」があんなに独創的だったことを思うと、そもそも大きな予算をかけた作品ではうまく冒険できないという裏事情があるのだろうと思う。世知辛い…。

20241102


吉田志穂の新作展示&トークショーを見るために東京駅へ。

この日は大雨が降って西日本新幹線のダイヤが崩れるなど騒ぎになっていたが、ちょうど家を出るタイミングで前線が東京まで流れて来ており、駅までの道で靴がぐしゃぐしゃに濡れてしまった。この状況で会場にどれぐらいの人が辿り着くのか気になっていたが、まさかの満席。流石木村伊兵衛賞作家。

以下、メモ。

  • 幽霊はイリミナルスペース、昨今のホラーブームからのインスパイアもある。
  • 写真とゴーストは縁がある。レンズフレアのことをゴーストという。
  • GoogleMapが時間のズレで幽霊船を生んだ事件が大きなインスピレーションになっている。展示している作品の中でも扱っている。
  • インターネットには空洞というイメージがある。携帯でサイトがなかなか開かなかった時代を引きずっている。
  • オフセット印刷した紙を3500枚重ねて展示した。全ての印刷結果が異なるようにしている。側面を見ると色が一致しないのが分かる。
  • 天井が高く空間も開けており会場であり展示方法は迷った。模型を作って計画した。
  • まず壁を1個置かせて貰った。天井の高さを使うことにした。資生堂ギャラリーも天井が高かったが、お金がなくて作品数を用意できなかったのでリベンジ。
  • 壁のグレーの部分は作品の領域を示している。フォトショップ上で緻密に計算している。
  • 物質としての写真に関心がある。自分は学校でトラディショナルな写真の教育を受けた人間。写真は全てフィルムで撮る。スクリーンショットは使わない。
  • 学校では写真が足りなければ100枚でも500枚でもとにかく撮ってこいと言うトラディショナルな教育を受けた。(同じ学校に通う学生が観客におり、今もそうだとのこと。へえー。)

20241006

20241005

「みんな大好き塊魂」のサントラとゲーム本編がサブスク解禁されて、塊魂熱が再発。その流れで「Everlasting Love」を耳コピしてみた。

原曲はギターが印象的だけど打ち込みでの再現は厳しい。早々に諦めて、ファミコン音源とCR-78でチープに仕上げた。良いアレンジが思いつかず沼ったので、サンクラに投稿して無理やり終わったことにした。

コードもリズムも驚くほどシンプルで、なぜ子供の頃の自分が親しみを感じて聞き込んでいたのがよく分かる。

20241006

天気が良くなってきたので午後から「HAPPYEND」を見に行く。

空音央が監督した坂本龍一のコンサート映画が異様な仕上がりだったので期待していたが、劇映画が初めてとは思えない美しいショットが次々に飛び込んでくる一方で、魅力的なキャラクターらが腸を見せないままさらっとEDに到達してしまい肩透かしな印象が否めなかった。(作中の校長じゃないが)なんて勿体ない・・・。未来の日本の荒廃具合には共感しかないが、その陰鬱なトーンに対して主人公2人のズレをはっきりと描かないのはどうなんだと感じてしまった。

インタビュー記事を漁っていたら、メインキャストらの距離を近づけるためにワークショップをした話があった。空音央は俳優ではない人らを採用するにあたって濱口監督に相談をしていたらしいが、この辺りに影響があるのかも知れない。

最後にどうでもいいことだがが、公式サイトの空音央の写真が異様に解像度が低いのがちょっと面白い。でも笑顔最高。

20241008

サイレントヒル市へ行こう!

外山さんディレクションの1作目しか触れたことが無いという距離感なので、新鮮な気持ちでプレイ。基本的にBGMが無く、細やかな物音でプレイヤーの注意を引く繊細なサウンドデザインが良い。Bloober TeamはMEDIUMがイマイチで距離を置いていたけど、本作は素晴らしい仕事をしていると思う。そろそろメタファーも来るので大渋滞になりそうだけど、今年のうちにクリアしておきたいところ。

20241012

写真家に会いに行こう!

行けませんでした・・・。整理券の配布時間前の時点で、制限人数以上の行列が出来てたらしい。アレックソスの人気を読み違えた・・・。

仕方ないので引きこもってDTMに打ち込む。

Youtubeを開くとトモコスガさんがアレック・ソスの写真集を読む動画を上げていたので視聴。まんまとソスの写真集が欲しくなる。

あと、メタファーをぼちぼち進めている。

序盤こそ王道JRPG的なストーリードリブンの進行になっていたが、カレンダーシステムが登場した辺りで皮がファンタジーなだけのペルソナになってしまいマンネリ気味。安心の面白さではあるが、これでは新規IPをせっかく立ち上げた意味がない・・・。

20241013

森美術館でルイーズ・ブルジョワ展を見る。思い出すのは塩田千春展のことで、あの時のようにトラウマを可視化させるような作品が巨大な空間を埋め尽くしている。穿った視点かもしれないが、女性アーティストにはカギ括弧付きの「女性ならでは」な作品を作らなければ美術界にうまく評価されない時期があり、結果的にそのドアを潜った作家の回顧展がいま森美術館のような場所で開催される流れがある気がした。

そんな話は置いといて、展覧会でまとまった数の作品を見て気づいたのは布素材を扱った作品が多いこと。

ストレートな刺繍の作品もあるし、また有名な巨大蜘蛛の作品にも実は布がくくりつけられたものがある。母親が刺繍工場で働いていたことが関係しているらしい。

MAMスクリーンのリアル・リザルティの映像も良かった。コンテナ工場やサムスンのオフィスなど、テック企業により生まれた無機質な光景の映像をバックに、そこに幽霊が出現する物語が語られるという、シルバー事件的な作品。

夜は自転車でToken Art Centerへ行き、三好彼流の新作パフォーマンスを見た。見慣れたギャラリーがえげつない場に変貌していて到着した瞬間から感動。パフォーマンス本編も素晴らしかった。表と裏が・・・あぁ・・・。

20240922

20240922

自宅でAbleton and Max Community Japan #054「音の採掘と音楽構築のアンチ・チュートリアル 2」を見る。出演は Pause Cattiさん。

Pause Cattiさんはエクスペリメンタルな音楽を制作するミュージシャン。DAWやサンプラーから生み出した実験的な音を集めて、どうやって音楽に仕立てていくかというお話。

普段実践している工程は5つに分けられ、マイニング、ストレージ、スナップショット、コンポジション、アジャストメントとなっている。曲者なのがコンポジション(作曲)で、Pause Cattiさんは風景を思い描いてストーリー仕立てに素材を並べることで前述のような楽曲が出来上がっているとのことだったが、この部分に飛躍があり、なかなか真似するのは難しいと感じた。

Q&Aで印象深かったのが、来場者から「私はピアノ教室で西洋音楽の知識を叩き込まれたが、そこから解き放たれた自由な作り方だ」というコメントがあった際に、松本さんが「私にはむしろ西洋音楽的を通過した人でないとやらない構成の仕方に聞こえる」と返していた場面。Pause Cattiさんも西洋音楽で訓練されてしまったので抜け出せないと否定しないニュアンスで答えられていた。薄っすら分かっていたことだが、型なしの作曲法などではないのだろう。

最近ユリイカでの特集に備えていよわさんを聞き込んでいるが、前衛をやるためにむしろ型が必要という聞き飽きた概念について、一度向き合わないとマズいのかもと感じ始めている。

20240925

デューク宮沢さんの新曲が出ていた。いい味が出てる。

デューク宮沢さんは毎回MVにガンガンAI素材を使っているのに、無機質に感じさせない仕上がりになっているのが面白い。高度なテクニックが使われている訳でもないが、楽曲にどんな映像をぶつけるかという編集の意図が思いの外伝わりよい臭みになっている。(それってつまりMAD動画的な良さなのでは)

20240928

曇り空のなか、ゆりかもめに乗ってお台場へ。小泉明郎の「縛られたプロメテウス」がお目当て。会場はメルセデスベンツのショールームで、車に興味のない自分がここにいる場違い感が一周回って楽しくなっていた。

小泉明郎はヘッドセットを着用する作品を以前にも出しているが、今回は周りの景色が透けて見えるMR型。初めのうちは鑑賞者は会場を自由に歩くことがあることが出来るが、中盤で意図的に視界を奪うことで動けなくするタブー的な演出が用いられる。商品としてのVRコンテンツではあり得ない、自覚的に鑑賞者を嫌な手つきで制御下に置く小泉作品の真骨頂がここに出ていたと思う。あなたは動く彫刻です・・・。話題になっていたマジックミラー室の演出も大変気味が悪く満足した。

その後は少し休憩してから映画館へ移動し「cloud」を見た。しかしどうも相性が悪く、「リアル」以来のうまく楽しめない黒沢清映画になってしまった。不気味な映画は歓迎だが、本作はどちらかと言えば浅ましい人間が続々出てくるというもので、全てが薄っぺらい感じが耐えられなかった。

帰宅して「TUNIC」をクリアする。調べたところ、重要な謎解きを済ませたときに突入できる真エンドの方に最初から到達してしまった模様。満足度はやはり高くなく、「ラ・ムラーナ」や「Witness」のカジュアル版という印象のままだった。残念。

20240930

「ユリイカ特集=いよわ」の中に、リリックビデオの歴史を整理しつつ、いよわ作品のアニメーションを考察するという面白いコラムがあった。(「レイヤーとキャラクター いよわのアニメーションについて 米原将磨」)

紹介されていたMVをYoutubeで確認しながら読み進めたのだけど、その際に集めたリンクをここにまとめておく。

その歴史を簡単に振り返ると、初期の例としてはボブ・ディランが歌詞に合わせて手元のフリップを次々に投げ捨てていく“Subterranean Homesick Blues”が挙げられる。

いよわ; 横川理彦; 原口沙輔; はるまきごはん; しぐれうい; 名取さな木澤佐登志; ナクヤムパンリエッタ. ユリイカ2024年10月号 特集=いよわ――「1000年生きてる」「きゅうくらりん」から「熱異常」、そして「一千光年」先…ボーカロイド文化の臨界点へ (p.262). 青土社. Kindle 版.

八〇年代にはプリンスの“Sign o’ the Times”において、キネティックタイポグラフィが歌詞のメッセージ性を強調するために使われた。

いよわ; 横川理彦; 原口沙輔; はるまきごはん; しぐれうい; 名取さな木澤佐登志; ナクヤムパンリエッタ. ユリイカ2024年10月号 特集=いよわ――「1000年生きてる」「きゅうくらりん」から「熱異常」、そして「一千光年」先…ボーカロイド文化の臨界点へ (p.262). 青土社. Kindle 版.

一つ目は、それまでのファンメイドのリリックビデオを彷彿とさせるような、一定のタイミングで、画面中央から下部に歌詞を表示し、背景画面は静止画のタイプのものだ。

いよわ; 横川理彦; 原口沙輔; はるまきごはん; しぐれうい; 名取さな木澤佐登志; ナクヤムパンリエッタ. ユリイカ2024年10月号 特集=いよわ――「1000年生きてる」「きゅうくらりん」から「熱異常」、そして「一千光年」先…ボーカロイド文化の臨界点へ (p.263). 青土社. Kindle 版.

二つ目は、キネティックタイポグラフィを用いて、レイヤーのバリエーションも音楽に合わせて変化させていくタイプのものだ。例えば、二〇一〇年に発表されたCeeLo Greenの“Fuck You”がその代表だ。こちらは、色彩の変化、レイヤーの切り替え、キネティックタイポグラフィの利用という観点から、アニメーション型と名付けよう。

いよわ; 横川理彦; 原口沙輔; はるまきごはん; しぐれうい; 名取さな木澤佐登志; ナクヤムパンリエッタ. ユリイカ2024年10月号 特集=いよわ――「1000年生きてる」「きゅうくらりん」から「熱異常」、そして「一千光年」先…ボーカロイド文化の臨界点へ (pp.263-264). 青土社. Kindle 版.

ところで、ボーカロイド文化におけるMVもまた、おおよそこのフリップ型とアニメーション型の二つが発展していった。

いよわ; 横川理彦; 原口沙輔; はるまきごはん; しぐれうい; 名取さな木澤佐登志; ナクヤムパンリエッタ. ユリイカ2024年10月号 特集=いよわ――「1000年生きてる」「きゅうくらりん」から「熱異常」、そして「一千光年」先…ボーカロイド文化の臨界点へ (p.264). 青土社. Kindle 版.

ここにおいて、歌詞はキネティックタイポグラフィを用いて表現され、また、アニメーションには初音ミクを想起させるツインテールの少女が登場する。わずか一カ月でこうした型の変化を見せたボーカロイド文化では、その初期からフリップ型とアニメーション型はボカロPの表現と影響を受けた別の制作者の方向性ごとに多様に選び取られていったと言える。

いよわ; 横川理彦; 原口沙輔; はるまきごはん; しぐれうい; 名取さな木澤佐登志; ナクヤムパンリエッタ. ユリイカ2024年10月号 特集=いよわ――「1000年生きてる」「きゅうくらりん」から「熱異常」、そして「一千光年」先…ボーカロイド文化の臨界点へ (p.264). 青土社. Kindle 版.

目まぐるしく展開するレイヤーの入れ替えによって、フリップ型にはまったく感じられないように工夫されている。いよわはこうしたレイヤーコントロールによってリリックビデオを作り上げている。

いよわ; 横川理彦; 原口沙輔; はるまきごはん; しぐれうい; 名取さな木澤佐登志; ナクヤムパンリエッタ. ユリイカ2024年10月号 特集=いよわ――「1000年生きてる」「きゅうくらりん」から「熱異常」、そして「一千光年」先…ボーカロイド文化の臨界点へ (p.267). 青土社. Kindle 版.

リリックビデオ・楽曲・歌詞のすべての表現内容が対応している点で、「無辜のあなた」はいよわのリリックビデオを論じるさいに注目すべき特徴をすべて兼ね備えている。

いよわ; 横川理彦; 原口沙輔; はるまきごはん; しぐれうい; 名取さな木澤佐登志; ナクヤムパンリエッタ. ユリイカ2024年10月号 特集=いよわ――「1000年生きてる」「きゅうくらりん」から「熱異常」、そして「一千光年」先…ボーカロイド文化の臨界点へ (p.268). 青土社. Kindle 版.

水滴が落ちているのではなく、矩形レイヤーに水滴の形をしたマスクをほどこして、背景を断続的に露出している。つまり、これは、これまで見てきたような赤い矩形レイヤーを付箋のように被せてみせるのと同じ原理で動作している。

いよわ; 横川理彦; 原口沙輔; はるまきごはん; しぐれうい; 名取さな木澤佐登志; ナクヤムパンリエッタ. ユリイカ2024年10月号 特集=いよわ――「1000年生きてる」「きゅうくらりん」から「熱異常」、そして「一千光年」先…ボーカロイド文化の臨界点へ (p.269). 青土社. Kindle 版.

「クリエイトがある」(二〇二四)といった最近の作品では、もはや矩形レイヤーを見ることはない。ただし、これまで述べてきたようなレイヤーコントロールの技法で成立している。

いよわ; 横川理彦; 原口沙輔; はるまきごはん; しぐれうい; 名取さな木澤佐登志; ナクヤムパンリエッタ. ユリイカ2024年10月号 特集=いよわ――「1000年生きてる」「きゅうくらりん」から「熱異常」、そして「一千光年」先…ボーカロイド文化の臨界点へ (p.269). 青土社. Kindle 版.

クローバーの葉をかたどった少し明るい柳煤竹色(カラーコードは16進数で4A6547)のレイヤーが回転している。このモーションの開始は素早く、終わりは緩やかだ。つまり、イージングアウトだ。

いよわ; 横川理彦; 原口沙輔; はるまきごはん; しぐれうい; 名取さな木澤佐登志; ナクヤムパンリエッタ. ユリイカ2024年10月号 特集=いよわ――「1000年生きてる」「きゅうくらりん」から「熱異常」、そして「一千光年」先…ボーカロイド文化の臨界点へ (pp.272-273). 青土社. Kindle 版.

つまり、いよわのMVキャラと同じ程度には、いよわの用いるレイヤーのパターンもある種のキャラクターのように機能してしまっている(17)。これは「あだぽしゃ」(二〇二一)の動画時間三九秒と一分三九秒で顕著に見られるように、登場するキャラクターの色を透過させ、輪郭線を背景レイヤーから浮かせるようにしていることも傍証になるだろう。

いよわ; 横川理彦; 原口沙輔; はるまきごはん; しぐれうい; 名取さな木澤佐登志; ナクヤムパンリエッタ. ユリイカ2024年10月号 特集=いよわ――「1000年生きてる」「きゅうくらりん」から「熱異常」、そして「一千光年」先…ボーカロイド文化の臨界点へ (p.273). 青土社. Kindle 版.

また、予備動作がないため次に来たポーズが前のポーズからどんな連続性をもった運動なのかわからないのだ。そうすると、鑑賞者の視点は別のところに移る。それは、落下のイージングとスプリングだ。

いよわ; 横川理彦; 原口沙輔; はるまきごはん; しぐれうい; 名取さな木澤佐登志; ナクヤムパンリエッタ. ユリイカ2024年10月号 特集=いよわ――「1000年生きてる」「きゅうくらりん」から「熱異常」、そして「一千光年」先…ボーカロイド文化の臨界点へ (p.274). 青土社. Kindle 版.

はい。お疲れ様でした。

ちなみに私の好きないよわさんのMVは「クリエイトがある」です。創作物の中に埋没しているトライ&エラーの時間の層がほぐされて、ふわっと浮き上がってくるマジックがあると思います。

20240906

20240906

「きみの色」の熱を冷ますために水金地火木土天アーメンを耳コピ。

DAWで原曲の波形ぴったりにノートを置くのをやってみたけど、絶妙に違和感のある仕上がりに。アタックの違いでズレることに気を配るべきだったが後の祭り。むーん。

でもサンクラに曲をアップするのは良い。これまで曲が完成したという実感を得られないまま来たけれど投稿することで線が引かれて諦めが付く。今後もやっていこう。

アップ準備中に近藤銀河さんのレビューが公開されていたので読みながら作業していた。カメラを向けすぎないというのはなるほど。

やはりこの映画が特殊なのは、主役の3人が抱えている問題が明かされないまま進んでいくことにある。アニメーションなんだから展開の起伏を脚本に頼らず映像で作ろうとする。才能のある映像作家はそういった表現に是非トライして欲しいと思っているけれど、「きみの色」がどれくらい成功していたかは自分はまだ判断を保留している。終盤でトツ子がどこでもない仮想の庭で(幼い頃に挫折した)バレエを踊るシーンは本作で最も心を動かされるけれど、このときトツ子がどんな悩みをどう吹っ切ったのかはよく分からなかった。

20240907

抽選で落ち続けた長谷川白紙のライブの一般発売日。当然のように購入できず。全力は尽くしたので悔いはない。

MOMATの「フェミニズムと映像表現」を見に行く。数年前に久保田成子展を見てから女性作家のビデオアート作品をもっと見たいと思っていたところに、ずばりの展示が来た。企画展ではなく収蔵展の一角で開催するミニ特集だが、それでもありがたい。

リンダ・ベングリスの「ナウ」など、多重録画など映像ならではのテクニックを用いて女性の身体のイメージを乖離させる作品が気に入った。長谷川白紙が音楽でやろうというしてるのも恐らくこういうことだよね。

ジョーン・ジョーンズの「VERTICAL ROLL」も印象に残った。先日いわいとしお展でアナログテレビの走査線を使ったゾートロープマシンを見たが、本作もテレビの周波数を利用しており、アナログテレビをカメラで撮影することで周波数の違いにより映像が縦にスライドしていくというもの。編集機なしでこれが出来上がるのは驚き。

20240909

遂にやった・・・!

踏破した達成感と疲労感で頭がチカチカする。ワープポッドを運び直す参勤交代システムがあるのでもう1回来ますね。しかし、せせきさんはデス・ストランディングに匹敵する作品を個人で作り上げてしまったのか・・・。末恐ろしい。

20240913

imdkm&松浦知也の「ゼロから聴きたいテクノロジーと音楽史」を見る。(アーカイブスを半年も寝かしていた)

テクノロジーが音楽を民主化したという歴史観は今日至る所で語られるものの、その一歩先まで考えると、規格を通じて特定のフィルターを介した音楽感を他者に強制してしまう構図があるよね、というお話だった。

これは音楽理論の善悪にも通ずる話で、あれはあくまで西洋音楽のルールであって、民族音楽の世界ではコード進行どころか和音の概念を持たないものだってあることをすっかり忘れてしまう恐れがある。ただ、テクノロジーの話になると突然警戒されなくなる傾向があるのは確かにと思った。

そこから脱する方法となるとMAXが思い浮かぶ訳だけれど、またコンピュータとハッキング文化の話か、それもまた既知の価値観に絡め取られてないか、プログラミングができない人は参加できないのに民主化と言えるのか、と頭が痛くなった。

20240914

「エイリアン:ロムルス」を見る。傑作とは言いづらいけれど、迷走していたシリーズに火を入れ直す気概を感じた。

リドリー・スコットがバックに回ったことで暗喩が露骨になっていて、本作唯一の黒人がアンドロイド役に当てられていたり、生殺与奪の権利を手に入れて大暴れするもきっちり企業から搾取される展開があったりするのは「あ~」と思いながら見ていた。

監督のフェデ・アルバレスの過去作といえば「ドント・ブリーズ」だけど、あれは最終的に盲目のお爺さんが精液をスポイトで注射してくるドン引き映画だった。ロムルスも妊娠ネタや無重力空間にぶちまけられたエイリアンの体液を避けていく液体恐怖症的な描写もあったりして、単にホラー繋がりだけでない適正を感じられたのも面白かった。

20240915

ネットフリックスで「カラオケ行こ」を見た。やはり山下敦弘は最高。監督の原作もの映画の中でもトップクラスに良かったんじゃないですか。

ヤクザ達が極端にフィクションぽい一方で、脇役の中学生たちが絶妙な実在感を纏っているのがたまらない。原作も後で読んだのだけど、コミティアで頒布された単行本1冊分もない短編で、色々足せる余白が多かったのが良かったのかもしれない。でも広角レンズで画面端が歪んでるのはちょっと気になった。この規模の映画でこういうミスあるんだ・・・。

買い出しに家を出ると、小学生男子2人が道路を挟んで歩きながら、「おれスプラトゥーン課金したわ~!!!」「いいからこっちこいや~!!!」と会話してるのを見かけて、山下敦弘の映画の世界が現実にはみ出したみたいだと思った。

夜は代官山へLAUSBUBを見に行く。

LAUSBUBは決してキャリアの長いユニットでは無いので油断していたが、DJのテクニックを駆使して一度も演奏を途切れさせずにライブを最後まで進行するという凄まじいライブを披露されて度肝を抜かれた。これは今後も通い続けよう。機材はおなじみのMS-20 mini、minilogueまでは分かったが、他のモジュラー系は疎くて判断がつかなかった。

WWW Xでアフターパーティーがあるとのことだったが、流石に体力が持たないので恵比寿で担々麺を食べてから帰宅。

20240918

夜な夜な「TUNIC」をプレイしている。

確かに面白いのだけれど、誰でもクリア出来るように導線を引いた「ラ・ムラーナ」 といった具合で、実はさほど悩むことなくジェットコースターに乗っているかのように半自動で謎が解けていくのが気になる。普通に考えたら「TUNIC」のやり方の方が王道なわけで、触った順番が悪かったかも。でもどうせなら必死で説明書にメモを書き込む役割はプレイヤーにやらせて欲しいんだよなー。

20240921

池袋へチェルフィッチュの新作を見にいく。意識してなかったが東京芸術祭のプログラムだったようで、去年の島地保武×環ROYに続いてこれで2回目になる。

事前情報無しで見に来たが、驚いたことに黒沢清の映画を舞台化したような内容!タイトル通りリビングルームが舞台で、恐らく家族と思われる人々がコンテンポラリーダンスのような動きをしながら棒読みで会話している。それは「Chime」や「蜘蛛の糸」の食卓シーンのような不穏さを纏っていて、とっくに家族の形が崩壊してしまっていることが暗に示される。更には中盤に起きるある事件をトリガーにして、家具や演者たちが黒い布に包まれてブラックボックス化し、最後は世界が崩壊するという、これまたどこかで見たような演出で舞台の幕が閉じる。陰鬱だが不思議な爽快感があるという、黒沢清ファンであればニコニコしてしまう内容だった。

ここまで触れなかったが本作は音楽劇。あまり音楽劇の常識に詳しくないのだけど、演者の手前にいる演奏者達が稀に舞台で起きていることに反応して「どうしたんですか?」と首を振る演出があって、背景に徹するのではなくリアクションを取ることがかえって異化効果を生んでいるのも良かった。

演出は先鋭的ながらも、先日見た「消しゴム山」に引き続き人間中心主義の否定を取り扱っているように見え、岡田利規の中では地続きのモードの中にいるのが何となく分かった。

20240811

20240811

シアスター・ゲイツ展を見に行く。アフロ民藝!

どの作品も質感が頼もしい。できればお触りOKコーナーも用意してほしかった。お香やオルガン演奏(日曜のみ実施)など、視覚以外で楽しむ作品が多いのも好印象。

何気に見逃せないのがMOMコーナーの台湾ビデオ・アートの黎明期特集。グエン・チン・ティを代表とする台湾作家の作品を一気見することができた。

最近マグカップのつるつるした触り心地に嫌気が差して焼き物を探していたのだけど、ミュージアップショップで見つけた常滑焼に一目惚れ。お持ち帰りしてしまった。シアスター・ゲイツの窯を制作した水上勝夫さん作とのこと。

20240812

エルデンリングDLCクリア。

マレニアで萎えて終わった本編と比較すると、真っ当にやりごたえのあるラスボスで安心。マップの完成度含めて「エルデンリングのつくりかた」が分かったうえでもう一度トライする良さに溢れていたと思う。私はエルデンリング本編に否定的なのもあってDLCがここまで素直に楽しめたのは驚きだった。

20240816

なぜか「臭作」をプレイする。

ADVファンとして「臭作」は先進的なメタネタを扱った作品としては話だけ知っていた。自分の好きな「デラシネ」も大ネタを踏まえると直系の作品なのでは以前から疑っていって、ようやく確認する気になった。

主人公の選んだ選択肢を「やだね」と突っぱねる臭作を見ると、メタをユーモラスに扱っているのが逆に新鮮。これと比べると「ととの」のメタはガチ過ぎる。

20240817

MOTに高橋龍太郎コレクションを見に行く。

チケット代がいつもより高い!と困惑するも、1FとB1Fを使った大規模構成とのことで納得。むしろ日本の現代美術のベストセレクションとも言える充実ぶりで容易く元が取れる。

最も印象に残ったのは志賀理江子の「螺旋海岸」。

写真のフィクション性、暴力性を自覚した際どい作風。名前を忘れていただけで、MOTの「さばかれえぬ私へ」や今年の横トリの展示でも見ている。売店で写真集を買って帰ろうと思ったが、肝心の「螺旋海岸」はなかった。今は在庫が切れてプレミア化しているらしい。

帰宅後、トイドラさんが「Luna say maybe」の分析をしていたので見る。最近少しずつコードの機能が分かってきて、話の内容が理解できるのが嬉しい。ただオンコードの印象の違いはまだよく聞き取れない。

20240818

「臭作」をクリア。

「デラシネ」に影響を与えてるという予想は大きく外れてなかったと思うけど、終わってみるとむしろ下倉バイオへの影響を強く感じた。キャラクターとプレイヤーをダイレクトに会話させるためにメタを使うという発想を更に掘り下げたのが「ととの」や「モジカ」という気がする。

夜は渋谷でパソコン音楽クラブのリリパを見る。

パソコン音楽クラブのライブを見るのは初めてだけど、VJがかなり本格的で驚く。二人の手元は角度的に見えなかったけどマシンライブ構成か。前半はアルバムの収録曲なのか分からないような機材ドリブンのパフォーマンスを長尺でやっていて痺れた。むしろそれだけのライブが見てみたい。

帰宅後、意外と体力が残っていたので味噌汁をつくる。味噌汁はいくら作っても困らないので。

20240819

ゲリラ豪雨でぐしょぐしょになりながら帰宅すると、16bitセンセーションの総集編が届いていた。

「結婚ですか」の連載やアニメ版のプロット作成を抱えていたはずの若木先生が、こんな大長編を平行に書いていた事実にまずやられる。

角川版ではずっと糸目キャラのように振る舞っていたかおりさんは、届いた総集編2・3では度々目が開くようになる。メイ子が業界のエースとして活躍する一方で、かおりさんは業界の暗い面に身を晒しすぎて目蓋を閉じなければそこに居続けられない対象的な位置にいる人だったことが分かる。合わせてフォーカスが当たるのがキョンシー。彼の復帰劇がこの話のクライマックスになるのだけれど、スランプで黄昏れていた彼の歳が33なのは若すぎるだろうと驚愕。ただ、ルール無用のこの業界に権力を持たない20代を捧げたら大半は取り返しがつかないことになるのも想像が付く。そういった人に最後にスポットライトを当てるという、史実を追うことから離れたエモーショナルな終わり方だった。(思えば「神のみ」も最後はそうだった)

妙に印象に残るのが2ちゃんねるの存在感で、メイ子が自身の悪口を見てしまい人間不信に陥る展開に、現代との地続きさを感じてしまった。テキストで「2ちゃんねるは悪意のある人間が強い力を持つ世界」と書かれてたが本当にその通りで、そんな場所を定期監視したら有害な言葉ばかり目に入るのは当然、でもやっぱり見てしまうという・・・。

20240822

岩倉アリアをクリア。面白すぎて3日で終えてしまった。

思うところあるのでゲームブログにまとまった文章を書きたいところ。

20240824

午後からだらっと外出。

まずはワタリウム美術館のSIDE CORE展へ。写真は美術館向かいのビルに出現したねずみくん。

SIDE COREは過去のタイムズゲートのように屋外を舞台にした作品でないと強度が出なさそうな不安があったが、予想していたよりは固い作品が揃っていた。ただ、画竜点睛を欠く印象は残る。そこは同時開催されている街歩きイベントに参加しないとダメそう。ただ既に定員に達してしまったらしい。

はしごで写真美術館の「いわいとしお」を見る。そう、TENORI-ONやエレクトロプランクトンの岩井俊雄の個展がひっそりと開催されているのです。

ゾートロープをテーマにした時間層シリーズに惹かれた。一般的なゾートロープと異なり、光の周波数を変化させることでアニメーションのパターンを次々に変化する。よく見ると素材はビデオデッキやMSXなど、当時誰でも手に入れる事が可能なもので構成されているのがすごい。1作目はなんと大学時代に制作したとのこと。

眺めていると、隣に居た人が「この作品の制作で私が考えていたのは・・・」と話していて、振り返ると岩井俊雄ご本人だった!お連れの方に作品の解説をしていたらしい。どうしても聞き耳を立てたくなってしまうので距離を取って鑑賞。

20240824

黒沢清の「Chime」を見た。

菊川のStrangerで見ようと考えていたが、既に昼間の上映がなく、RoadSteadでレンタルした。999人しかいない購入者から視聴権をレンタルするという、一瞬逃げたくなるアナログな手続きが必要だが難しくはない。

「CURE」や「散歩する侵略者」のように普通の市民が異常行動を始めるといういつものあらすじだが、間宮のような事件の発端となる人間がおらず、商業映画で求められる前説明がすべてカットされているのが特徴。黒沢清作品の大トロ部分のみで構成された凄まじい映画だった。大満足。ちなみに最後のインターフォンに写ってたあれが「Chime」なんでしょうか。

「Cloud」も前評判が良いので公開が楽しみ。

20240827

川村記念美術館閉館のニュースに凹む。高速バスでふらっとロスコルームに行く週末はもう無いんですか・・・。原美術館が解体されたときもそうだったがふつふつと怒りを覚える。

Alienmelonの新作が突如投下されたためプレイ。ビデオゲーム内の仮想美術館の歩くタイプの作品。それ自体はitch.ioではよくあるスタイルだが、膨大な資料にアクセスしながらTechnocapitalismにまつわる論を聞かされる点が非凡。作品内PCから参考資料となるWEBサイトに飛ぶこともできる。

20240830

楽しみにしていた「ファミコン探偵倶楽部 笑み男」の発売日。なのだけど、直前に始めた「WHITE ALBUM 2」が面白すぎて同時進行になってしまう。

三角関係ものって全く触れたことがなかったけど、優れたフォーマットであることが分かってきた。前にゲームブログに書いた「PARQUET」も企画書段階では実は三角関係ものだったらしい。(ゆずソフトのカラーに合わなくて路線変更されたのだろう)

一昨日にはずっと楽しみにしていたせせきさんの「アニマアルプス」の体験版も公開されて首が回らない。山登りたいよ。

20240831

「きみの色」を見ましたが良すぎて言語化したくない。唯一言えるのは、牛尾さん、永井聖一を連れてきてくれてありがとうということ。水金地火木土天アーメン。