20210130 プロメテウス

土曜日。10時に起きるも連日の深夜作業で明らかに身体にダメージが残っている…。若干うとうとしながら万有引力の公演を見るために新井薬師へ。私用で電車に乗るのは今年初めてで、それくらい万有引力の演劇は楽しみにしている。新井薬師は中野の北側にあるのだけど、中野駅前の喧騒が嘘のような静かな場所で驚いた。人の多すぎない商店街をずーっと進んでいくと会場のウエストエンドスタジオがあった。

ただ、感想としては万有引力の公演で初めて微妙かなと思ってしまった。まず劇が始まって驚いたのが、今回の『プロメテウス』はSF世界観になっていて、それもディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』が原案になっていること。SF自体はむしろ好物なんだけど、演出スタイルもそれに引きずられていて、平沢進がライブで使っていそうな電子ハープを持った指導者(?)が現れたり、アンドロイドの射殺シーンではレーザーポインターを使って銃を表現したりする。でも万有引力の一番の魅力は演者の鍛えられた肉体を見せつけることだと思っていて、時には肌を晒しながらコンテンポラリーダンスのような常人にはできない動きを生で観らることに大きな価値がある。『プロメテウス』はSF故にそういった場面が少なくて、消化不良感が否めなかった。(たぶん自覚はあって、プロメテウスが登場する神話パートでは上半身裸の男性が鎖に縛られている姿を拝むことができた。でもそれは本パートではないという・・・。)

でも一番気になったのは、演劇で『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』をやるのはヨコオタロウ氏が『ヨルハ』と『ニーアオートマタ』でやったばかりで既視感しかなかったことだよ! 演劇で『電気羊』をやるのは、アンドロイドが殆ど人間と同じく感情があるかのように振る舞えることが、演劇において演者はそのキャラクターを演じているだけで演者自身の感情ではないということに重ね合わされているという面白さがあるんだけど、それはヨルハで既にフォローしている。(人間とアンドロイドが共同作戦を展開するなかで、アンドロイドにも感情があるようにしか見えなくなる) 地球を捨てた人類とか、『ブレードランナー』でリドリー・スコットが無視した原作のプロットを拾うのもやっぱりヨコオタロウがやってしまっている。とにかく重複している内容が多くて、新鮮味の無さになかなか劇の世界に入っていけなかった。(ニーアの事を知らなかったら、いつもと違う万有引力が見れた!くらいの気持ちで楽しめた気もする)

でもこれ、たぶん万有引力が昨今のニーアのヒットを見て真似たということは無さそうで、逆に万有引力の人達が全くビデオゲームに興味が無かったからこそ被ってしまったのでは、と想像すると鬱々してくるものがある。うーん。

帰りはShugoArtsに寄ってリー・キットの展示を見た。プロジェクターの使い方が面白かった。