20210605 レヴュースタァライト劇場版を観た

正確には「劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト」らしいです。とても面白かった。

あんまりネット上でスターライトの話しないけど実は好きで、劇場版はひそやかに楽しみにしていた。どのくらい好きかというと、総集編劇場版は見ないけどTVシリーズは一式見たくらいの温度感。

実はTV版は一話で絶望して一度視聴を断念してる。それでお終いと思っていたけど、その後最終回直前の一挙放送で面白さに気付くという変なハマり方をした。

この作品は、歌劇少女という設定なり、監督が幾原監督作品の演出を担当していた古川知宏さんだったりとか、明らかにウテナを意識している。それを踏まえて見る一話はかなり厳しくて、メディアミックスを見越したキャラクター中心的な世界観を見せつけられた末にどこかで見たような変身バンクが披露されるという、毒を抜かれたウテナそのものだった。

それでうんざりして距離を置いたわけだけど、説明が一通り終わり、ゆったりとした日常芝居ができるようになる2話からは風通しが良くなって、ユーモアのある演出が商業的な臭いを追い出すようになってくる。それこそ2話の冒頭で主人公が物置に監禁されてしまうシーンでは、物置の扉が閉まって画面が真っ暗になったまま音も出さず何秒も放置してみせるなど、かつて幾原監督がセーラームーンでやった放送事故すれすれの演出を思わせる場面から始まったりする。(エヴァの無言エレベーターの方が分かりやすい?) (追記:後で見直したらそんな演出ありませんでした。怖っ。)

スターライトはこんな感じで、古川監督の偏執的な演出と、ブシロードの臭いがせめぎ合う変なアニメに仕上がっている。それもウテナがベースの筈なのに、キャラクタービジネスとしての要請から予定調和的に開催される決闘シーンより、奇妙なユーモアで演出される日常シーンの方が面白く感じられたりする。

劇場版の話から逸れ続けたけど、感想はTV版と全く同じになる。劇場版だろうがキャラクタービジネスなので、決闘シーンは9人のキャラクター達に均等に出番が割り振られていて、一応のメインプロットであるはずの愛城華恋と神楽ひかりの物語は一向に進まない。アヴェンジャーズでも有り得ない程のスローテンポ。というかTV版を再演しているだけじゃないか…。

その代わり、横に長いシネマスコープを使ったレイアウトの遊びが無茶苦茶に繰り返されるのがこの映画の面白いところ。

例えば、ひかりと友達になる前の幼い華恋が公園のベンチに座るシーンでは、謎の柱がスクリーンのど真ん中に立っていて、その左右に置かれた2つのベンチのうち左側にちょこんと華恋が座って、スクリーンの右側は空っぽになっている。その後華恋とひかりの友情が発展していく。

電車に乗れば、電車のフレームや線路の周りに立つ柱が、歌劇少女達や駅の看板を高速で遮って、回転速度が安定しないゾートロープを覗いたときみたいな映像になる。

シネマスコープとは関係ないけど、アルチンボルドの絵画を本物の野菜で再現する実写映像なんかも登場したりして、古川監督がはしゃいでいる姿がスクリーン越しに見える楽しい映画だった。(燃えるキリンとか幾原モチーフの引用もやたらあるけど意味は無くて楽しいからやってるだけだと思う)

来場特典は色紙(私の推しのばななさんだった!)とガチャ100連。ガシャは回す予定が無いので、ここまで読んでくれたどなたかがご自由に使ってください。