20240217 ねじまき鳥・micro ambient music fes

20240217

『ねじまき鳥クロニクル』を読み終わる。後半は続きが気になりすぎて、昼休みに会社で文庫本を開いていた。

前に書いた主人公と妻の話が中心という推測は当たりだった。途中クレタ島へ向かうと見せかけて行きませんというフェイントまで入ったりと、眼の前の問題に向き合い外部への移動をさせないことは想像以上に重要なルールとして厳守されていた気がする。その代わりに、208号室といった日常のすぐ隣りにある異界へ壁抜けする展開を用意することで起伏がつくられていた。

登場人物も色々出てくる割には、皆主人公と妻のアルターエゴとしての役割が強かった気がする。そうやって極端に内向的になってしまいそうなところを、ノモンハンなど日本の戦争の歴史を交えることであくまで近代日本の話としてまとめるのは流石にうまい。というか、個人や国のトラウマを歴史ではなく物語として語り直すことが、箱庭療法的な形で回復に繋がるというのがメインテーマだった(最近で言うと小森はるか+瀬尾夏美や濱口竜介の東北映画が接近した内容に似ている)。

とは言え自分が本作で最も面白いと感じた部分は、村上作品では珍しく「僕」でなく「僕と妻」の話にしているところで、他者が絡む以上、勝手に破滅する訳にも行かず関係の回復を狙うしか無いという通底するポジティブさが良かった。

次は『首里の馬』かなと思っていたけど、ちょうど届いた『他者といる技法』が『ねじまき鳥』の後にはぴったりな気がして迷い中。

20240222

イルリメさんの新曲MVが来た。音楽もアニメも全部でやるようになった末の極地。一人でミッドナイト・ゴスペルをやってるようなものだよ…。

過去作はこんな感じ。

20240224

micro ambient music fesを見にICCへ。3日の期間の中、後ろの2日分に参加。

ICC内の3種の会場を使い分けており、アコースティックなパフォーマンスに向いた小会場、グループ展で使われるホールにマットレスを敷いて寝転び音楽を聞く第2会場、zak氏が監修する最新鋭の音響システムを搭載したイベントホールがあった。

目当てだった蓮沼、網守回についてメモしておく。

蓮沼執太は小会場を選択。いつものEMS Synthi Aと共に、金属の板、氷、ピンマイクを持ち込み。

一言で言うと、今回は不快な音も出していく佐々木敦の言うところの黒蓮沼ライン。板の中に氷を溶かして、その中にピンマイクを擦り付けた音をアンプリファイしていくというパフォーマンスだが、黒板を引っ掻くような高音がかなりキツくて震えながら見ていた。周りも悶えている人がそこそこ居て退出している人もいた。しんどくてもコンセプト最優先でやってくれるとのは嬉しく、水戸芸でみた屋外で爆音でsin波を出すだけのライブで衝撃を受けたのを思い出した。ちなみにこのフェスはコンピアルバムからの派生企画だが、そこで蓮沼執太は氷結した湖で採取した音を提出しており、このパフォーマンスはその再現なのだと思う。

網守将平は第3会場。Erica SynthsのSyntrxやプロフェットをセット。

まずはワイングラスの縁を濡らした指で拭いて音を鳴らして、マイクで拾う→スピーカーで鳴らす→部屋鳴りと一緒にマイクで拾う→スピーカーで鳴らすを繰り返して、会場固有の鳴りをドローンのように組み上げる(爆音に共振したのか空調の振動音も拾っていた)。その上に、Syntrxの電子音や、プロフェットでの演奏を乗せていた。正直、このイベントで素直な鍵盤での演奏が聞けるとは思ってなかったが、直前まで網守将平は神山まるごと高専校歌の編曲で坂本龍一の演奏を研究していたという話だから、その成果発表的な部分がもしかしたら含まれていたのかもしれない(完全に当てずっぽうでゴメンナサイ)。

ちなみに第2会場も面白く、見知った美術館の床で寝るというレアな体験ができてラッキーだった。ちなみにスピーカーは、正面4ch、天井前側4ch、天井真上4chという(恐らく)12ch構成になっており、ただ寝るだけではなくシャワーのように音を上から下に浴びる形式を意図していたようだった。

20240302

FF7をちまちま進めつつ、午後は柴田聡子のライブを見に恵比寿へ。

先に写真美術館にも寄ったが、米田知子の軍事境界線の写真、グエン・チン・ティのチャム人についてのビデオが印象に残った。(APAもついでに見たけど言うことはない)

柴田聡子のアルバムリリースライブを見るのはぼちぼち銀河に続いて2度目。アルバムのコンセプトがブラックミュージック寄りということもあってバンドメンバーが微妙に違っていた(イトケンさんが居ない。プロデュースを担当した岡田拓郎はもちろん継続)。

ぼちぼち銀河のライブが良い思い出過ぎて超えられないかもと思っていたが、これまでにはなかった柴田聡子の低い歌唱や、ドラムやベースが前に出てくるアレンジなど、新鮮な要素だらけではしゃいでしまう。ラストの「Your favorite things」の長いアウトロで、柴田聡子が一人で先に退場、そのままアンコールなし閉場という締め方も強烈だった。

最近バンドのライブを楽しめずに帰ることが多くて避けがちになっていたが、久々に身体が自然に動くライブを見て純粋に楽しかった。

20240305

Live 12が遂にリリース。キャッシュファイルの破損で初回インストールが失敗するも、1回のリトライで済んで一安心。

Driftに続いてMPEのシンセが追加されてるみたいだけど、対応機器を購入する予定も無いし持て余しそうな感じ。不安だったセッションビューでのフェーダ表示は、トラック数が増えるとやはり画面がゴチャついてくらくらしてくる。

これは自主的に使用禁止にするかも…。

あとアイマス新作の情報も出ていたが、アイドルの歌声にホールをシミュレートしたリバーヴが適用されてたのが衝撃だった。スタマスの汗表現に続いて、没入感を重視する実験が少しずつ行われているみたいだけどこっちが主流になる日は来るんだろうか。私は期待しています。