ECTO
連日ながら東京都写真美術館へ。今日は展示ではなく『ECTO』の上映を見に来た。『ECTO』は劇伴を弦楽アンサンブルによる生演奏で行うという特殊な上映形態の作品、と説明すると何だかオシャレだが、トレーラーを見ると分かる通りその実態はゲテモノ系ホラー映画。
この映画では、黒沢清の『岸辺の旅』みたいに生者と死者が明確に区別されずに画面に登場する。しかし、一度調子が悪くなるとデヴィッド・オライリーのアニメーションみたいにグリッチが発生したり、露骨にグリーンバック合成された姿で宙に浮いたりその場ランニングをかましたりする。普段は音楽家をしている渡邊琢磨監督が初期衝動のまま好きなように撮っていて、見ているこっちまで楽しくなってしまう。
しかし劇伴の演出は真面目に面白い。無声映画のように全ての音楽を生演奏するのと違い、スクリーン側からもノイズのようなアンビエント曲が鳴っていて、これが弦楽隊の演奏と共鳴するように聞こえるようになっている。ホラー映画で劇伴が鳴る場面と言えば当然幽霊が登場するシーンであり、つまりスクリーンの内と外の音が共鳴することが異界の存在と邂逅した事を強調する演出として機能している。
あくまで音楽ドリブンで映画を設計している辺りは流石だし、そもそも映像側の演出も好みだったので非常に満足した。来てよかった。
この後は『見た目カウンター』の時里氏のラウンジセッションと、その後の「正直」のライブを見て帰った。
↓ こんな感じ。
SHOJIKI “Play Back” Curing Tapes @St. Florian Monastery from TOKISATO mitsuru on Vimeo.