今年も振り返る。
後から自分が思い出せるように少しプライベートな事も書いておくが、2021年は本当に極端な年で、前半はこのブログに6本も記事を書いたりと絶好調だったものの、終盤は心身共にボロボロで土日も家から出ず静養するような日々を送っていた。原因ははっきりしていて、ワクチンの普及で在宅勤務が消失すると共に、仕事が激務化したから。おかげで体力を使うタイプのゲームは起動できなくなったが、無心で進められる『FF14』が癒しになってくれた。
プレイしたゲームは以下。
PC
- The Ascent
- Back 4 Blood
- Boyfriend Dungeon
- ButterflySoup
- Carrion
- Celeste
- Dead Cells
- Dicey Dungeons
- Donut Country
- Euro Truck Simulator 2
- FF 14
- Forza Horizon 5
- The Good Life
- Hades
- Half-Life:Alyx
- Halo Infinite
- The Hunter
- Inscryption
- It takes two
- Lake
- Last Stop
- Lonely Mountains:Downhill
- The Medium
- Necrobarista DLC1&2
- Outer Wilds
- Outward
- Ord.
- Ori and the Will of the Wisps
- START WARS Jedi Fallen Order
- START WARS Squadrons
- SUPERHOT:MIND CONTROL DELETE
- UNDEFEATED
- アイドルマスター スターリットシーズン
- 塊魂アンコール
- シルバー事件
- シルバー事件25区
- テイルズオブヴェスペリア REMASTER
- パラダイスキラー
- Xbox Game Passいろいろ
- itch.ioいろいろ
Switch
- NO MORE HEROES 3
- PACMAN99
- 神田アリスも推理スル。
- メトロイド ドレッド
- ワールドエンドクラブ
Oculus
- The Climb 2
- アルトデウス:BC DLC
PS5
- Control
- DEATHLOOP
- JETT
- Maneater
- Returnal
- 新すばらしきこのせかい
- スカーレットネクサス
- テイルズオブアライズ
- 東京クロノス
- アルトデウス:BC
特に印象に残ったものについてコメントする。
Outward
2020年の年末用に購入したCoopゲームだが、結局これが2021年で最も印象に残ったゲームになった。
本作はいわゆる『ブレスオブザワイルド』フォロワーであり、凹凸のある地形や、目を引く印象的なランドマークをフィールドに配置することで、プレイヤーに自分の意志で世界を歩かせるような設計思想を持っている(これに関しては「ミニマップを見つめるとき」という記事で詳しく書いた) 。 クラフト要素を導入しているのも同様で、道中に見かけるオブジェクト(果実のなった木、湖、脂肪の多そうな獣…)に様々な役割を持たせることで、ゲーム世界全体を意味あるものに演出している。
ここまでは『ブレスオブザワイルド』と変わらないが、本作が面白いのは、旅をシミュレートする方向性に振っていることだ。本作には「空腹度」「睡眠」などの概念があり、これらが減ることでHP等のステータスの上限も同様に減り行動不可能になる。このため、街を出る際は明確に探索の目的を決めて、重量制限のあるカバンに何を詰めるかを考えなくてはならない。大きな旅に出る際は、Coop相手と議論しながら1時間以上に渡って準備を整えるような場面もあった。
また、TRPG的な要素も色濃く、ゲーム内で「サイコロを振らされる」ことも多い。例えば、時間経過で低下したステータス上限を回復するには睡眠を取る必要があるが、野外で寝ると一定確率で奇襲されてしまうなど、何かアクションをしようとするともれなくリスクが付いてくる設計になっている。
とまあ、本作は何かと面倒くさいのだけど、それらが理不尽でなく面白く感じられるのは、TPRG的な設計が貫かれていることですべてプレイヤーの旅を盛り上げるためのハプニングとして受け入れられるからなのだと思う。そう考えると、本作は『ブレスオブザワイルド』フォロワーでありながら『ダークソウル』的なのかもしれない。
Returnal
今年は『Hades』や『Inscryption』など、ローグライトのリトライの意味を再解釈した作品が話題をさらったが、個人的にはプレイヤーに本来以上のプレイ時間を捧げることを求められているようでどうにも乗れなかった。特にSupergiant Gamesはアクションが得意というより世界観をつくるのが上手いデベロッパーという認識だったので、『Hades』はプレイしながら首を傾げてしまった。そんな中、ローグライトと幸福な出会いをしていると思えた作品として、Housemarqueの『Returnal』があった。
Housemarque は『RESOGUN』などプリミティブなアーケードスタイルのゲームを手掛けてきたスタジオだが、「ARCADE IS DEAD」という記事を投稿するなどそのスタイルを維持することが難しくなったことを吐露していた。『Returnal』はこの後に登場したタイトルになるが、未知の惑星で死亡したはずの主人公が何度も再生されてしまうという、ローグライトの手法で『ソラリス』的なストーリーを描くゲームのように見えて、得意なスタイルを封印してしまったのかとあまり期待していなかった。しかし実際にプレイしてみると意外にもシナリオへの注力は程々で、大量の弾幕を避けながら確実に敵を撃破していくプリミティブなシューターに仕上がっていることに笑ってしまった。SIEの意向に沿った内容なのかは分からないが、ローグライトとミックスされることで Housemarqueの得意とするアーケードスタイルのゲームとしての面白さがより拡張されるという幸福な出会いを見ることができた。
ワールドエンドクラブ
Tookyo Games立ち上げ後初の打越鋼太郎参加作品(シナリオライター兼ディレクターとしての関与)。本作はゲームプレイの完成度よりコンセプトで勝負するタイプのゲームで、横スクロールアクションとしてはガタガタだが、ステージを左から右へ進んでいく伝統的なプラットフォーマーのフォーマットを、鹿児島から東京への日本縦断に当てはめるといったアイデアの部分に魅力がある。
しかし自分としては、小学生を主人公に据えることで、打越鋼太郎作品に度々見られるピュアさが全開になっているのが嬉しかった。
例えば『9時間9人9の扉』を初めてプレイしたときは、デスゲームによって参加者が非常に殺されていく殺伐な世界観を描いておきながら、何故か終盤において主人公とヒロインの小学生時代の心暖かなエピソードに物語が収斂していくところに理解できない突飛さを感じた。これは『パンチライン』など他の作品でも繰り返される。打越さんは小高さんと共にデスゲームADVの専門家のように語られることが多いが、実は(?)根は驚くほどピュアな人で、プレイヤーの心を揺さぶるドラマを作らなければならないときに、自身が信じて書けるシチュエーションとして「純粋な心を持った子供たちの結束により救いがもたらされる」といったジュブナイルなものを選んでしまうのだと思う。この点で『ワールドエンドクラブ』は低年齢層向けに開発されたゲームというのは正しくなく、打越鋼太郎が遂に本来の素養を隠さずに表に出し切った重要作なんだと言いたい。
余談だが、本作の宣伝番組で打越さんは「ガンバレ組のテーマ」の歌詞を書きながら自分で泣いたというエピソードを披露していたけど、あれは恐らく誇張でなくマジです。
アルトデウス:BC
ADVゲームのファンとして、2021年はMyDearestの存在に気付けたのが大きな収穫だった。
アルトデウスにしろ東京クロノスにしろ、MyDearestのゲームは取り扱うジャンルの魅力を、ADVゲームに落とし込むのが恐ろしく上手い。例えばミステリである東京クロノスは周回構造を持っているが、1周目では犯人を探るフーダニット型であったストーリーが、2周目で新たな分岐を追加されることでホワイダニットとして読み直させる仕組みは王道ながらも唸らされた。アルトデウスは単独で感想記事を書いたが、ADVゲームとしての骨格の面白さの追求のみでなく、スタニスワフ・レムの『ソラリス』をマイノリティの連帯の寓話として現代的にアップデートしてみせるといったフレーバー側の魅力もあり、更に完成度を上げた傑作になっていた。(それ故にDLCのエピソード・ヤマトのシナリオがADVの骨格から乖離した凡作であったのにはがっかりした。ボーナスエピソードということで柏倉監督の書いた脚本をゲーム向けに再翻訳せずそのまま投入したんだろうか…。)
次回作のディスクロニアはVRゲームとしては没入型に寄ったデザインになるとの情報もあり少々不安だが、引き続き追いかけて行きたい。
新すばらしきこのせかい
前作ファンの期待を裏切らない傑作だった。すでに感想記事を投稿しているため、そこでは省いたことについて書き残しておく。
まず前提として、すばせかはKHシリーズの制作陣によるゲームとアピールされていることから、野村哲也のクリエイティビティが発揮されたゲームと捉えられがちだが、実際にディレクターを担当しているのは普段はKHシリーズでモーションディレクターを務めている神藤辰也氏であるし、中身もかなり違うと思う。
新すばせかをプレイして再認識したけれど、このシリーズのコアな魅力は、同じく渋谷を舞台にしていたチュンソフトの「街」や「428」のように、多数の登場人物の動向を神の視点で俯瞰的に追いかけることで、街そのものを描いていることにあると思う。本作は一応デスゲームものということになっているけれど、実際にゲーム内でやらされることと言えばミッションと称して渋谷にいる人々のトラブルを解決していくというお使いの繰り返しであり、明らかに主人公に感情移入させることよりも渋谷という街の存在感を立ち上げることの方に力が入っていて、「428」と同様に文芸的な印象を強く受けるゲームになっている。スクエニの説明会では『新すばせか』はユーザーの評価は高いが売上はいまいちと報告されたらしいけれど、実際超ニッチな内容のゲームなんだからそれはそうなるだろうと思ってしまった。
最後にネタバレになるが、本作のラストシーンについて自分の解釈を書いておく。「すばせか」シリーズでは終盤に主人公に訪れるミクロな結末が、その時代の渋谷の空気に対するアンサーになっているというお約束がある。前作では、渋谷の喧騒を嫌ってヘッドホンを被る主人公「ネク」が自身を裏切った「ヨシュア」と対話する姿勢を見せたことで、結果的に管理人による渋谷の廃棄が回避されるというオチになっている。これはグラフィティによる被害の深刻化と多様性の許容との間で揺れていた当時の渋谷のジレンマを反映したものだった。今作はSNSやARゲームにより2層化する街をテーマに扱っているが、ラストでは主人公「リンドウ」とSNS上の知り合いであった「スワロウさん」が現実世界でカップルになるという驚くほど気の抜けたオチが待っている。しかし、現実世界での2人の役割がデスゲームの参加者と管理者という日常生活では絶対に交わらないであろう身分同士であったことを思うと、今回も面白いところを突いてくるなと思った。シリーズファンならグラフィティ文脈から2層世界を生み出した初代『すばせか』からの15年越しの大オチとして更に感慨深く感じられると思う。
FF14 新生エオルゼア~漆黒のヴィランズ
秋頃にマルチで遊ぶゲームが不足していた時期があって、その際にちょっとした話の流れでFF14を触ってみることになったのだけれど、案の定ハマってしまい他のゲームをほったらかしでプレイしている。
そう言うと印象良さそうだけど、実は最初の『新生エオルゼア』は全く面白くなくて離脱しかけた。でもそれが、最初の拡張パッケージの『蒼天のイシュガルド』から一気に練度が上がり、それこそMMORPGでありながらシングルプレイ向けFFをプレイするのと変わらない(あるいはそれ以上の)熱量のストーリーが展開され、先へ先へと進めていたら『漆黒のヴィランズ』まで到達してしまった。(『新生』がいかに厳しい状況で開発されたのかを想像できてしまう)
特に印象深かったのが『紅蓮のリベレーター』。砂漠を舞台にした物語に侍が登場するまでは良いとして、敗走した将軍がモンゴル風の大草原で暮らしているという突飛なビジュアルには岡本喜八の『EAST MEETS WEST』並みの衝撃を受けた。義経とチンギスハンの同一人物説から思いついたんだろうか。
また、帝国に奪われた領土を取り返すというシンプルなプロットながらも、敵味方両陣営ともに、現状を良しとせず反逆を起こす人物が女性に設定されているのも良かった。思い返せば『紅蓮のリベレーター』がリリースされたのは2017年で、その1年前には『テイルズオブベルセリア』が女性ヴィランを主人公に据え、映画では女性キャストで『ゴーストバスターズ』がリブートされるなどしたあの時期の作品になる。FFはこういった流れには乗らなかったと認識していたが、MMORPG側でやっていたとは知らなかった。
最近は経済に参加する面白さに目覚めて、高く売れそうなHQ品のレザーをマーケットに流して小金を稼いでいる。マイホーム欲しいです。
以上。
こうしてみると、期待していた『It takes two』、『DEATHLOOP』、『テイルズオブアライズ』は自分の中でそこそこの評価に落ちついてしまった。特にテイルズはシリーズ最高傑作の一つと呼べる『ベルセリア』を生み出した直後とは思えない保守的な内容で、リスクを冒せない大規模プロジェクトだったのは分かるが、今後が心配になってしまった。
今年は当然『ELDEN RING』に期待しています。