「テイルズオブエターニア」の思い出 団地に越してきた少女に痣を見つけたら

「テイルズオブエターニア」のリマスター版が出るらしい。自分にとって「エターニア」は、テイルズオブシリーズの中では珍しくストーリーから寓意性を感じ取れた作品で、その意味について度々振り返ってしまう。

以後、「エターニア」のネタバレを含むほか、親から子への虐待に言及します。苦手な方は閲覧にご注意ください。

王道のジュブナイルものとしての始まり

あらすじは非常にシンプル。同じ村で育ったリッド、ファラ、キールという幼馴染三人組がいて、そこに空からメルディという女の子が降ってくる。世界の危機を訴えるメルディに連れられ、3人は冒険の旅に出る。「ラピュタ」を思わせる王道すぎる導入だ。

プレイの仕方次第では、パーティーメンバーを増やさずこの4人だけでゲームを進めることが出来る。当時10代だった私は、ほぼ幼馴染三人組だけで話が完結するなんて「ズッコケ三人組」くらいのスケールの話だな・・・、と物足りなさを感じながら遊んでいた。

母から虐待される娘

しかし、物語の後半、世界を滅ぼそうとする人物(ラスボス)がメルディの母であったことが明かされる。更には、その母親は娘を人体実験に使っていたと言う。

今まで子供向けの冒険活劇と捉えていた物語が一気に変質する。同じ団地に住む三人組の子供たちが、新しく引っ越してきた少女の体に痣を見つけてしまったみたいな話だ。

プレイ当時、これは「スターウォーズ」や「エヴァンゲリオン」のような親殺しの物語なのだと、何とか思い込もうとしたのを覚えている。しかし、年を重ねるほどこの解釈は無理だったなと思う。友達の親と対立することを親殺しとは言わない。やはりよその家庭が抱える問題に首を突っ込む話と見るのが自然だろう。

よその家庭の問題に介入するべきか?

もう一つの重要なプロットとして、幼馴染三人組が何か共通のトラウマを抱えていることが、序盤から匂わされる。ゲームを進めると、どうやら三人は村のルールを破って禁じられた丘に入り、その結果リッドの父を死なせた過去があるらしい。このエピソードは、メルディの問題に最後まで介入するべきかを迷わせる壁のように機能する。

つまり「エターニア」における冒険とは、同じ失敗を繰り返さないよう、世界の複雑さを知っていくシークエンスとして解釈できる。それを済ませることで、初めてメルディの母との戦いに挑むことができるのだ。

25年経っても身近な物語

この文章は私の住んでいるアパートの自室で書いているが、夕方になると子供が上階の部屋でドタバタと走る音が響いてくる。たまに大きな音が聞こえると、例えトラブルでは無かったとしてもぎょっとする。集合住宅に住んでいて、人の気配を感じない日なんて無い。あまりに身近な物語だから、「テイルズオブエターニア」の寓意性は自分の中でまだ古びていない。