私的GOTY 2015年のオススメゲーム

今年プレイしたゲームで特に印象に残った作品を紹介していきます。また最後に2015年のベスト作品を一本選出します。

テイルズオブゼスティリア

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思えば2015年はテイルズから始まった年でした。TOZの優れている点は、戦闘システムが3D化(マルチライン化)した時からずっと付き纏っている、後衛キャラの防衛問題に解答を出したことにあります。

2D時代のテイルズの戦闘システムは、前線を守るゲームでした。近接攻撃キャラが敵を前線に押し留め後衛キャラを守ることで、攻撃魔法や回復魔法が機能し戦闘を有利に進められるようになります。2003年に発売されたテイルズオブシンフォニアでは初めて全編3Dでの制作が行われ、これは見た目の進化だけでなく、戦闘フィールドが3D化されたことで水平方向への広がりが生まれ、より複雑な戦闘を楽しむことができるようになりました。しかし同時に2Dではあった前線という概念がなくなったことで、後衛キャラがボコられやすくなるという問題も生まれました。

それから10年以上経った現在、TOZはこの問題の解答として「神衣」システムを実装していました。これはボタンひとつで近接攻撃キャラと後衛キャラが「合体」し、強力な範囲攻撃を繰り出せる1キャラになるという冗談のようなシステムです。しかしこれによりTOZは3D化以降、最も欠点のない戦闘システムを持った作品となったのでした。

△初めて見たときは面食らいましたが、プレイしてみると本当に快適なのです。

D4 season1

D4はレッドシーズプロファイルのディレクターを務めたSWERY氏によるアドベンチャーゲームです。レッドシーズプロファイルはドラマ「ツインピークス」の影響を受けたオープンワールド形式のアドベンチャーゲームで、ケレン味の強い世界観やツインピークス風では終わらせない巧みなゲームデザインが光る作品でした。しかしアクションパートの完成度が低く地獄の仕上がりであったことから、最も評価が割れたゲームとしてギネスに認定された経歴を持ちます。本作はSWERY氏の作風はそのままに、広大なオープンワールドからは打って変わり、部屋の一室や飛行機の内部といった閉ざされた空間で様々なオブジェクトにインタラクトすることで謎を解いていくという、アクション要素の低い、レッドシーズプロファイルのいいとこ取りな内容となっています。

SWERY氏のゲームをプレイしていると小島監督の作品を思い出させられます。それは映画・ドラマなどの映像作品からの影響を受けていることや、また表現したいものとそのために必要なゲームデザインを構築できる手腕を持っているという点です。その巧みなゲームデザインゆえに、二人の作品はプレイヤーとゲームの関係をあぶり出すような演出が度々出現し機能します。すでに名作を連発しているSWERY氏ですが、この先さらにとんでもない何かを作ってくれるのではないかという予感をひしひしと感じています。

D4でSWERY氏の世界に触れ、もし興味が湧いたならばレッドシーズプロファイルもプレイしてみるのをお勧めします。

The Beginner’s Guide

The Beginners Guideは複雑な物語構造を持った作品です。このゲームはアマチュアのゲーム製作者であるCodaの作成したプライベートなゲーム群を、その知人であるDaveyが編集を加え一繋ぎの作品にしてネット上に公開したもの、という設定になっています。そして実際にこのゲームをSteam、Humble Storeで配信している人物こそ、「The Stanley Parable」の製作者でもあるDavey Wredenなのです。

「製作者による解説を聞きながらプレイできるゲーム」は、すでに存在しているものとしてはMGS4にて行われた「Guns of The HIDECHAN!Radio.」企画があります。しかし本作は純粋なドキュメンタリーではなく、ゲームプレイを通して、他人に公開する予定のなかったCodaの作品をなぜDaveyは勝手に編集して公開したのか?公開したことで二人に何が起こったのか?について物語られるフィクションです。コントローラーを握れば、Davey Wredenの仕掛けた秀逸な演出があなたを彼らの物語の中に投げ込んでくれるでしょう。

△「Guns of The HIDECHAN!Radio.」はゲーム内BGMを変更できるアイテムiPodを使用してオーディオコメンタリーをやろうという企画でした。

2015ベストゲーム

四季の狂剣・神無絶景

神無絶景とは、ゲームをプレイしている最中にふと音楽と演出が絶妙にかみ合った瞬間やゲーム内のキャラに完全に自己投影できてしまった瞬間に不意に涙を流してしまった時…神の介在しない絶景すなわち神無絶景を垣間見た瞬間と名付けたものである

2015年のベストゲームは四季の狂剣・神無絶景です。四季の狂剣・神無絶景は、サークル「みょふ~会」によるアクション&ノベルゲームで、江戸時代の日本をモチーフにした日常的に真剣勝負が行われる世界を舞台に、多数のキャラクター達の群青劇が描かれます。

まず驚かされるのが極限まで要素を削ぎ落とした一次元ゲージで表現されるバトルシステムです。基本的な操作もZキーによる「前進」(後退すら存在しない)とXキーによる「攻撃」の2パターンのみで、あとは補助的に使用されるキーが2つ存在するのみです。しかしながらキーの長押しによる細かい挙動制御や、一定条件で発動する特殊状況、そして画面の8割を埋めるflashで演出されるキャラクターアニメーションが奥深い戦闘を演出しています。これは個人製作による省力化思考から逆算して生み出されたものであるのは確かだとは思うのですが、Zキーの「前進」は本作の半分を占めるノベルパートを読み進めるためのZキーでもあり、ノベルパートと戦闘パートを違和感なく接続するための装置ともなっています。(キラー7の◯ボタンによる移動なんかを思い出したりします)

戦闘システムの練度もさることながら、本作の最大の魅力は、個人製作作品、商業作品含めて見渡してもまず目にかかれないほどの「キャラ」の立ったキャラクター達です。彼らはその強烈なキャラゆえに、己の信念のもと真剣勝負を挑み次々と散っていきます。そしてその中で「俺は死ぬわけにはいかないんだ」と叫ぶ主人公、緋夕絶機がEDへと走り続けます。Zキーを押し続け、多くの喪失を共にした緋夕絶機と共に迎えるEDには神無絶景が広がっていることでしょう。

以上2015年のオススメゲームでした。それでは良いお年を。

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