2018振り返り 私的GOTY

ふりかえろう。プレイしたゲームは以下です。


PC

  • Assault Spy
  • Black Bird
  • Euphoria
  • Fortnite
  • Getting Over It with Bennett Foddy
  • Hover
  • Killer7
  • Iconoclasts
  • La-Mulana2
  • Life is Strange:Before the Storm
  • Link:The Unleashed Nexus
  • THE MISSING
  • SEPTEMBER 1999
  • Space Invaders Extream
  • VOXSOLAR
  • A Way Out
  • みにくいモジカの子

PS4

  • ASTRO BOT
  • Detroit:Becom Human
  • Déraciné
  • Far Cry 5
  • Firewall Zero Hour
  • God of War
  • GUNGRAVE VR
  • Marvel’s Spider-Man
  • Red Dead Redemption 2
  • Tetris Effect
  • アイドルマスター ステラステージ

Switch

  • LUMINES Remaster
  • Nintendo Labo
  • ファミリーコンピューター Nintendo Switch Online
  • 返校
  • 大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL

Web

  • アイドルマスター シャイニーカラーズ

Netflix

  • ブラックミラー:バンダースナッチ

以下に特に印象に残ったものについてコメントします。

アイドルマスター ステラステージ

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数多くの派生作品が生み出されている本シリーズですが、ステラステージはアーケード及び家庭用ゲーム機で展開されてきた本家アイドルマスターの新作です。

自分にとっての本家アイドルマスターと言えば”アイドルマスター2″で、これはアニメ化に至るほどの人気を得た作品とは思えない硬派なスケジューリングを要求するシミュレーションゲームであると同時に、3Dモデルによるライブパートにインタラクティブミュージックの技術を組み込んだ”ライブバトルシステム”を筆頭とする、アイドルマスターというゲームの為だけに用意されたシステムが惜しみなく投入された唯一無二の傑作でした。しかしこの方針で制作された作品は2が最後で、以降はナンバリングの付かない、アイドルとの会話パートを報酬に所謂音ゲーを繰り返すファンディスク的なシステムの新作しか出なくなっている状況です。

特に前作プラチナスターズは、サービス型運営により常時アップデートされる”デレステ”がリリース済みであるにも関わらず、家庭用ゲームならではの魅力が乏しく苦しい内容でした。この為、それからわずか1年で発売された本作は単純なアップデート版のようなものと期待していなかったのですが、結果的にこれは大間違いでした。

まず音ゲーであるという部分に変化はありませんが、カレンダーの概念が用意され、1年間という期間、4(週)×12(ヶ月)=48回のアクション内で、6つの大会をクリアする目標が用意されました。これは家庭用ゲーム機ならではの遊びを模索する中で、ナンバリングタイトルにおけるスケジューリングを参照したものと考えられ、シミュレーションゲームとしてのアイドルマスターに思い入れのある自分としては嬉しい要素でした。しかしこれだけでは収まらず、天海春香のシナリオが「1」を意識した内容であったり、一部のミッションに「2」における地獄の特訓やアニメ版のシナリオを再現したものが含まれていたり、しまいには設定の異なるパラレル作品に登場した歴代のライバル事務所の楽曲を歌う謎の少女詩花が登場したりと、過去作品を想起させる要素が次から次へと登場するのです。

最近では「MGSV」がシリーズで初めてオープンワールドを採用した際に、過去作品を想起させる要素を積極的に取り込む試みを行っていました。これはこれまでと比較してより制限のない巨大な空間で駆動するメカニクスを構築する中で自然に発生する欲求なのかもしれません。そして今回の「ステラステージ」は、非ナンバリングタイトルの音ゲーの繰り返しのメカニクスをナンバリングタイトルのメカニクスを抽象化したものであると解釈した事で、同様の試みとなったものと考えます。

これは本来のファンディスクの在り方とも一致しているほか、ゲーム及びメディアミックスで10年以上展開してきたシリーズの歴史をゲームメカニクスの中で追体験させるという凄まじい内容であり、ナンバリングタイトルでは決してできないことを達成してみせた、自分にとってアイドルマスター2と並ぶもう一つのマスターピースとなった作品なのでした。

Assault Spy

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昨今「〇〇のスタッフによる新作」という触れ込みで取り上げられる作品を度々見かけますが、一つのタイトルに大量の人員が投入される現在のゲーム開発においていまいち信用できないフレーズでもあります。

本作も元デビルメイクライ開発スタッフによるスラッシュアクションという触れ込みで話題となった作品ではありますが、ツイッターに投稿されるGIFから興味を持ち早期アクセス版を購入してみたところ個人制作とは思えない手触りの良さに驚愕させられました。開発後半にはNIS Americaがパブリッシャーについた事で外注できるようになりクオリティの底上げに成功したこともその理由の一つでしょうが、強力なボタン長押し発動技を筆頭とする各アクションへの適切なリスクとリターンの設定や、コンボ創作意欲を刺激する技仕様など、アクションのつくりの”分かっている感”が尋常ではありません。

これがきっかけで制作者であるWazen氏について調べてみたところ、カプコン入社前に「アサルとスパイ」というフリーゲームを制作しておりこれも傑作であるらしいのですがアクションゲームではなくノベルゲームなのです(!)。ここからは完全な邪推ですが、カプコンを選択した経緯はどちらかといえば逆転裁判などのADVを開発している大手企業であることが大きく、アクションのノウハウは在籍していた期間だけで吸収してしまったのではないのでしょうか。少なくとも「Assault Spy」からはジャンルの面白さを理解し、体系づけ、再現してみせるセンスの良さと開発力の高さを感じさせ、日本ならではのゲームを開発する個人開発者として今後も注目していきたい人物です。

また、本作はデビルメイクライや神谷英樹によるベヨネッタよりも優れていると思える部分すらあります。

一つは、同じスラッシュアクションでも地形を意識した立ち回りが強く求められる事です。ステージには敵を即時に処分することができる奈落や電気鉄線などのギミックや、ミサイル等の飛び道具を回避するための障害物が用意されており、環境に応じた振る舞いを求められます。これは意外に珍しい方向性と思っていて、大手デベロッパーによるアクションゲームはプレイヤー及び敵キャラクターがとれるアクションを徐々に増やし習熟してもらう事で間を持たせることが殆どではないでしょうか。

二つは、アクション以外の余剰な要素がない事です。神谷英樹作品は特に顕著ですが、合間にちょっとした謎解きが入ったり、ステージ内にミニゲームをプレイできる隠しエリアが用意されていて未クリアのまま進めるとチャプターのリザルトが満点評価にならない、といった事があります。その点本作は僅かな特殊イベントを除いてアクションパートで構成されておりテンポ良く進めていくことができます。

これらが揃っていることで、本作はまるでゲームセンターに置かれたベルトスクロールアクションのように、ゲームを起動した瞬間からクリアするまで暴力の快楽が続く高純度なアクションゲームとして完成しているのです。

FireWall Zero Hour

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発売当初の盛り上がりも落ち着いてきたPSVRですが、SIEは継続して新規タイトルを投入し続けており、その中でもJapan Studioによる「ASTRO BOT」やフロムソフトウェアによる「déraciné」は、これまで培われてきたVRゲームの文法を整理して3Dプラットフォーマーへ、ADVへ見事に適用してみせた傑作でした。しかしその一方、VR立ち上げ当初の初期衝動を思わせる直球さと、実はいいところを突いてるのでは?と思わせるポテンシャルを持ったタイトルがひっそりとリリースされていました。それが「FireWall Zero Hour」です。

本作はPSVRのガンコントローラーを用いてプレイするマルチプレイヤー型のFPSで、4人1組のチームを組んで、攻撃側、防衛側に分かれて対戦します。ゲームが開始されると防衛側の陣地内にランダムでターゲットが配置されるので、攻撃側は制限時間内にターゲットを発見してインタラクトできれば勝利となります。

ここまではVRで遊べるFPSという点以外珍しくもない内容ですが、本作の特徴は一度キルされると二度と復活できないという点です。このためプレイヤーはボイスチャットを駆使してチームメンバーと連携し、誰一人死なないよう慎重に前進していく必要があります。かつマップは基本的に視界が通らない様にデザインされているため、両陣営同士で自然とかくれんぼをすることになります。屋内ステージではマルチプレイ型のFPSには珍しく可動式のドアが多数配置されており、通過した後は半開きになり痕跡が残るなんて仕組みも用意されています。

両チームが遭遇して撃ち合いが開始したものの互いに前進できず状況が硬直してしまった際は、誰かが裏をかいて別ルートから前進しなくてはならないのではないか、しかし持ち場を離れた隙に攻められてしまうのではないか、そもそも迷っている間に回り込まれているのではないか、と見えない敵に翻弄されることになります。

このように本作には「Dead by Daylight」で行動の読めない生きた人間が操作する鬼役と対峙したときの居心地の悪さをFPSに混入させたかのような新しい体験があります。PSVRとガンコンを持っているならば一度触ってみて損はないはず。

余談ですが、なぜこのようなストイックなルールになってしまったかというと、VRゲームの制限から逆算的に導かれたデザインであるためでしょう。VRゲームを制作する上でまず注意しなければならないのは、一般的な3Dゲームのようにスティックでの自由なカメラ移動を行うと強烈な酔いに襲われるという点です。この問題には一応の回避策は存在し、カメラを滑らかに回転させるのではなく、カクカクと30度ずつ動かしてやることで酔いを大幅に削減することができます。しかしこれでは激しく左右にカメラを動かすCODのようなスポーツ系FPSは成立しません。このため「FireWall Zero Hour」は、後者のカメラ操作を採用しつつ、ゲームスピードを低下させるルールを付与することで従来の自由移動型のFPSを実現しているのです。

実は前述した「ASTRO BOT」や「déraciné」も同じくVR特有の制限から逆算したゲームデザインであろう部分が垣間見えます。しかしこの制限こそがこれまでになかった新しいゲームが生まれる土壌にもなっており、これからのVRにもまだまだ期待しています。

GOTY : A Way Out

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2018年度どころかオールタイムベストに入る一本です。

囚人である2人の主人公が刑務所からの脱獄を図るというアクションゲームで、ざっくり言ってしまえばCo-op版「アンチャーテッド」のようなゲームなのですが、”2人プレイ専用”であるという点が特徴です。

本作を手掛けるのは映画監督の経歴を持つジョセフ・ファレスが率いるHazelight Studioで、以前「Brothers – A Tale of Two Sons」というゲームをリリースしていました。「Brothers」は二人の兄弟が父親を救うための薬を得るために冒険するアクションアドベンチャーで、兄弟をそれぞれ右スティックと左スティックで操作する特殊な操作体系を持っています。そしてその操作体系を利用した”とある演出”により、決定的な評価を得たゲームでもあります。

ここまでの情報を知っている人ならば想像がついてしまうのですが、やはり「A Way Out」でも2人プレイ専用であることを利用した衝撃的な演出が用意されているのです。これ以上はネタバレになるため詳しくは説明できませんが、これまでのどんなゲームでも味わったことのない複雑な感情を味わうことになります(ネタの性質上過言ではないはず)。しかし、それがどんな結末であったとしても、隣に、もしくはヘッドセットの向こうに、すぐさまその感情を分かち合える相手が居るという意味では「Brothers」よりも良心的なのかもしれません。

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