20240101 正月・ICC・ユーバランス・吉田志穂

20240101

正月。特に予定も無かったので自転車で近所の神社へ向かい初詣を済ませる。甘酒を楽しんだ後、スーパーで安売りされているおせちを買い込み帰宅。ボイスチャットを繋ぎながらバルダーズゲート3を進めていると地震が。東京と神戸が同時に激しく揺れるとはどういうことかと会話しながら、しばらく情報収集していた。

残りの休日は去年と同じく山に出かけようと計画していたが、余震が心配だし何より気分も落ち込んでしまったので中止することに。

少額だが災害支援に募金を入れる。そういえば学生時代にも東日本大震災で募金をしたが、あの時は罪悪感を解消するために募金をしてしまったと思い詰めるという変な悩み方をしたのを思い出した。この手の支援は、自分が被災した側にまわったときに誰かに支援してもらえる社会に近づけるためにやるのだ、という発想が当時の自分には無かった。

20240113

時里さんのパペットを見にICCアニュアルへ。勿論坂本龍一展も見る。

アニュアルではインタラクションの要素がある作品が多く、アートを見に来たつもりがビデオゲームのフィルターを通して色々考えてしまった。

一番分かり易いのが「Five Years Old Memories」。タブレットでプレイするアプリ作品で、作家が知人から集めた5歳の夢を再現している。目的が曖昧な行為をやらされることで、鑑賞者にインタラクションそのものを楽しませるというアートゲームの王道のような作品に見えた。

電車で車窓を眺める体験を模した武田萌花「Day Tripper」は、ダライアスや電車でGOといったタイトーのAC作品のように、座席が揺れる仕組みまで作り込まれているのに感激。

その一方で、作家が訪れたことがない街をCG映像で再現した菅野歩美「未踏のツアー」は、「E52」をつくった身としてはドキリとする設定だが、CG=夢という接続が自分の感性と乖離しているのを感じた。

坂本龍一展は、映像がメインで正直見どころは少な目。それでも毛利さんのインスタレーションは良かった。個人的にはワタリウム美術館の設置音楽展のような方向性が見たいが、MOT側はどうなるんだろうか。

20240121

ユーバランスを見にWWWへ。

サウンドエンジニアの葛西敏彦主催のイベントという情報だけでチケットを購入していたが、ライブハウス内で同時多発的にパフォーマンスが行われるという周遊型フェス企画だったと直前で知る。

かなり風通しの良い企画で、ライブの殆どが即興だったり、詩人の大崎さんの朗読やチェルフィッチュの演劇を音楽と混ぜる試みがあったりと、実験OKな空気感が居心地良い。キャストも出番がない間は廊下で雑談したり客席にしれっと混ざっていたりする。

特にロビーで平然とDTMをしている三浦康嗣は最高だった。構成はMac mini+NI製鍵盤+ProTools。会場の音をマイクで採取してビートを組んだり、everyday is a symphonyのプロジェクトを解剖したりしていた。tr.1の「よ〜」は いとうせいこうが結婚式の余興を録音したものだったことが判明したりと新情報がポロポロ出てくる。途中で網守将平が遊びに来て「□□□っぽいエレピ」を鍵盤でサクッと打ち込んで去っていったのは笑ってしまった。(三浦康嗣曰く音源はfalconのエレピを使うのが正解らしい)

その網守将平はWWWのメインステージにて、完全に照明を落とした会場で口に咥えたペンライトを頼りに爆音の電子音を鳴らし続けるという尖りすぎたパフォーマンスを披露していた。

その後の蓮沼執太回にもゲストとして網守将平は参加していて、今自分が一番熱心に聞いている二人の即興演奏を聞けたのはラッキーだった。

20240127

写大ギャラリーへ吉田志穂展を見に行く。

大学付属の無償ギャラリーでの展示というのもあり期待値を上げすぎないよう向かったが、ここ数年の吉田志穂の展示で一番刺さってしまい完全に杞憂だった。今回は物理的なレイヤー表現に力が入っていて、同じ場所で撮影した複数の写真をデジタル加工で合体させる過去の手法はそのままに、透明なパネルを物理的に重ねて飾るという形に発展していた。中にはあえて透明度の低いパネルの裏に更にもう一枚パネルを隠して、はっきりと見えない写真をつくるという嫌らしいものも。ティルマンスの壁どころか地面まで展示空間に使っているのも良かった。

時間が余ったので、さわひらき作品目当てで森美術館とキース・ヘリング展に寄った。キースヘリング展は予想通り人が入っていて落ち着ける雰囲気では無かったが、来日していたキース・ヘリングが原宿のBBOY達のために路上にチョークでドローイングする映像が非常に良かったので満足した。これだけで来た甲斐があった。