20200523 DMCとブレイド

ツイッターを眺めていたら、神谷さんが面白い話をしていたのでメモ。

ブレイドは1998年公開のアクション映画で、DMCの元ネタの一つではないかとよく挙げられる作品。主人公は人間と吸血鬼のハーフという設定や、真っ黒のスーツを着込んだ男が刀や銃を駆使して吸血鬼を切り倒す光景など、確かに共通点は多い。


Blade (1/3) Movie CLIP – Vampire Killer (1998) HD

とはいえ、多くのアクション映画があるなかブレイドが挙げられやすいのは、リアリティを無視して全能感を剥き出しにした無茶なデザインというところから穿った目線で連想されてしまっている部分があると思う。

でも神谷英樹が作るキャラクターにはそういうダサさを感じたことってあまりない。神谷さんはあくまでプレイヤーが感情移入しやすいヒーロー然とした主人公を作り上げようとしているのであって、一見全能感バリバリに見えてしまうダンテも、アマテラスやビューティフルジョーと同じ発想で設計されているのだと思う。

とか考えてたら、ご本人からも同じようなコメントがあった。

しかしプロジェクトG.G.はどんなゲームになるのか全然分からない。特撮ネタっぽい雰囲気だけど、着ぐるみの繰り出す重鈍なアクションって神谷さんのゲームとは真逆だよね。プラチナゲームズによる自社パブリッシュ作品なのに、客層を選ぶジャンルなのも気になる。勿論その辺りはちゃんと戦略があるんだろうけど。

スケイルバウンド以来神谷作品はお預けになっているので、特に特撮に興味のない自分でも楽しめるゲームだと良いね。

20200519 棒立日記

だらっとYoutubeを眺めていたら見つけてしまった。


どうも日本、海外問わず、あらゆる場所で棒立ちしているだけの動画を集めて投稿しているらしい。検索したところでは4ヶ月前に開設されたインスタグラムアカウントがオリジナル。かなり面白いと思うけれど、伸びている動画でもまだ100再生ちょっとに留まっている。

 https://www.instagram.com/boudachi_1_diary/?hl=ja 

自分も旅行に行くと、その場の空気を記録するためにiPhoneをfixして数十秒撮るというのをよくやるので、投稿者が同じことを考えているのかはともかく一方的に共感してしまった。

しかし真顔で棒立ちしているので、中には周囲の人に気味悪がられているのもあるね…。

20200504 ゆるキャン

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数日前、はてなブログから「更新が1ヵ月止まっている」とメールが届いた。むしろこれまで更新が続いていたことの方に驚かされるけれど、自宅待機が始まった日とぴったり重なっていてなるほどと腑に落ちた。自分は外出好きのインドア派で、休日は必ず電車に乗ってどこかへは行くんだけど、結局映画館なりに引きこもるというよく分からない生活がルーチンになっている。このブログを用意したのも、そうやって出先で撮り貯めた写真を公開したり、その時考えていたことをメモする場所が欲しかったからだった。

今年のGWは強制で自宅待機になってしまったが、積んでいるゲームや本が山ほどあるのでそこまで苦でもない。30時間くらいプレイして放置したままのラムラーナ2を片づけるとか、オンライン公開されたホドロフスキーの新作を見るとか色々考えていたのだけど、いざ連休が始まって最初にやったのはゆるキャンを全話見る事だった

ゆるキャンの良さは「しまりんがかわいい」の一言で8割くらい説明できる気もするけど、それは流石に酷すぎるのでもう少し書いてみる。

まずキャンプ趣味という題材がアニメーション作品との相性が良い。「テントを設営する」とか「炭に火を点ける」とかそういう動作を細やかに描写していくだけでも楽しいし、時には環境音のみを鳴らしながら風に揺れる草木をゆっくり映してみるとか、絵・音・時間を扱う映像作品としてネタに出来る要素が無限に転がっている。キャンプ場に着くまでも温泉や道の駅とかどんどん寄り道していくので、背景が固定されずに変わっていくのも良い。制作スタッフはロケハンもやったそうで、その成果もあってか、キャンプ場における地上との時間の流れ方の違いみたいなものが濃密に映像に反映されていると思う。

こんな風に説明してしまうと趣味性の高いハードコアなアニメみたいだけど、きらら原作なので、もちろん女の子たちがわちゃわちゃしている姿を眺めるのがメイン。主人公であるしまりんとなでしこの交流を追うのが少なくとも本編におけるストーリーの主軸になっているのだけれど、ゆるキャンの面白いところは、それがソロキャンパー派のしまりんと野外活動サークル(野クル)に所属するなでしこという別ジャンルで活動している人らの異文化交流として置き換えられていること。1人で行動していたしまりんが野外活動サークルに所属するようになっておしまい!みたいな展開にはならず、あくまで嗜好の違いとして描かれているのが心地良い。

キャンパー文化による置き換えはこれだけではなくて、特筆すべきは9話。原付で長野へ向かうしまりんを、自宅にいるなでしこがスマホでナビするという回。しまりんは山の待合室で居合わせた登山家のお姉さんにほうじ茶を貰うなど、山の上でしか発生しないようなコミュニケーションを経験しつつ目的地を目指す。しかし、キャンプ場に入る道に立入禁止の看板が置かれていて立ち往生するという事件が起きる。ここでは、なでしこの家に来ていた大垣千明(野クルの部長。しまりんからは苦手意識を持たれている)の助言によって、なんとか目的地に辿り着くことができる。これは直前にあったほうじ茶のエピソードと対比されていて、同じ学校に通っていたのに微妙な仲だったしまりんと千明が、山の上で自然に行われるキャンパー同士の助け合いのような形で距離を縮めるという構図になっている。(それがスマホ上でのやり取りに置き換わっている所も面白い)

こんな感じで女子高生達のコミュニケーションが、キャンパー文化と密に絡むようになっているのが、ゆるキャン独自の面白い部分だと思う。

この辺りの構成が原作からかっちり組まれていたのか、アニメ化するにあたって調整した部分なのかは気になるところ。まだ10巻くらいらしいので読んでみてもいいかも。でも来年2期もあるらしいし、原作の答え合わせみたいにアニメ見ることになるのは嫌だし迷う。

あと完全に余談だけど、しまりんに「ノリが合わない」と敬遠されている千明の声優が原紗友里なのは笑ってしまった。声色も殆ど変えてないせいで、一人でテンション高めに喋り倒す場面とかはデレパがよぎるんだよ! 年を取ってデレパから離脱していった頃の自分を思い出しながらしまりんに共感するという全方面に失礼なことをしていた。

20200322 和光

蓮沼執太 “BELLS”

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この日は銀座の和光へ蓮沼執太のインスタレーションを見に行った。告知がほとんど無くひっそりと行われていたが、蓮沼執太の野外展示の中でもぶっちぎりで面白かった。

和光といえば初代ゴジラでも破壊された銀座のシンボル。当時、無断で使用された和光側が東宝に抗議を申し入れるといういざこざもあったらしい。ちなみにシン・ゴジラでも実は破壊されており、内閣総辞職ビームの巻き沿いで横なぎにされた。和解の象徴と言えるでしょう。

和光では15分ごとに鐘が鳴らされていて、今回の作品はそれに合わせて蓮沼執太の作曲した音楽が流れるというもの。ウィンドウディスプレイには武蔵淳による時計をイメージしたデザインが施されおり、こっそり展示についての説明もある。

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この作品が面白いのは、その鐘の音をレコーディングして使っていること。つまり本来はきっかり毎時15分を告げる役割を持つ筈の音が不定期に鳴り続けることになる。これは実際に体験するとかなり奇妙な感覚で、この場所を通り過ぎる人が「何これ?」という表情で音のする方向をちらっと見るのを見かけた。解説文には「その鐘の『サウンド』を使った音楽が街に広がることによって、日常を曖昧にし、人々が持つ異なる時間軸を現前させます。」とある。つまり、日常の象徴である鐘の音をずらした鳴らし方をさせることで、もはや当たり前の風景として見逃している交差点を行き交う多様な人々へ改めて意識を向けさせることが狙いなのだと思う。

蓮沼執太は美術館やギャラリーの中で狙いをもって音楽を鳴らすということはこれまでもやってきたけれど、この作品は銀座の和光という場所でしか成立しないものであるし、またリサーチを重要視する彼のスタイルとも一致していてとても面白かった。

A10で交差点の音も拾ってきたので以下に公開しておきます。

20200308 千駄木

この日は健康診断で鶯谷にある健診センターへ。どうしてそんなところに・・・と思われそうだけど、ここには都内で最も気に入っている銭湯の一つである萩の湯があって用事を済ませた後に湯につかるという計画だった。が、コロナウイルスのせいでとても銭湯なんか行ける雰囲気ではなく断念することに。そのまま帰るのも勿体ないので日暮里で蕎麦を食べたついでに千駄木方面へ散歩してみた。

日暮里駅から北側へ向かうとやたら賑わっている商店街にたどり着いた。谷中ぎんざというらしい。

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観光地のようにスイーツや雑貨の店がずらっと並んでいて、その中にポツポツと昔ながらの食料品店が紛れているという面白い場所だった。とてもアクセスの良い場所とは思えないけど、明らかに地元の人には見えない若者や外国人観光客で溢れていた。不思議。

千駄木は坂だらけで歩きにくい場所だけれど、ローカル感のある店や建物が多くて見ていて飽きない。

あっ、毛沢東

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コロナウイルスの影響で閉館していた森鷗外記念館。知らなかったが、この辺りには観潮楼と呼ばれる森鷗外の自宅があったゆかりの場所らしい。

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本郷図書館。ちょっと宗教的な雰囲気を感じる外観。

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江戸川乱歩をテーマにした喫茶店

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時代に取り残されたかのようなヤマザキ

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グーグルマップでたまたま見つけたSCAI THE BATHHOUSE。なんと李禹煥の個展をやっていた。

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台東区らしく、かつてあった銭湯をリノベーションしてギャラリーにしてしまったらしい。入り口には靴入れがそのまま残っている。

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中は綺麗に改装されて真っ白な空間になっているけれど、シルエットは銭湯のままなのが面白い。天井には換気用の窓だった部分がそのまま残っている。ゆとりのある広い空間とシンプルな李禹煥の作品は、とても相性が良いように見えた。

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帰りはなぜか谷中霊園の中をぶっちぎるルートを選んでしまった。タワーマンションが空気を読まない風景。

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20200301-02 金沢/金沢海みらい図書館

金沢後半。

金沢海みらい図書館は多くの観光地と異なり駅の北側にある。バスは駅前のロータリーからは出ず、少し離れたバス停を使わないといけない。窓からの景色は観光地感はなく、道路の沿線にスーパーマーケットや飲食店がずらりと並んだ田舎らしいものになる。そこで突然現れる巨大な白い建物が、金沢海みらい図書館になる。

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写真でこそ見たことあれど、やはり実物は圧倒的な存在感。

近くで見ると外壁は同じ形のカバーを敷き詰めて構成されているのが分かる。もしかして汚れたら交換可能な設計なんだろうか。

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ドキドキしながら建物内へ入る。ここでは静かな環境をつくるために1階が児童図書コーナー、2階と3階が一般図書コーナーと分離されている。螺旋階段を登り潜水艦を思わせる丸みをおびた扉を抜けると、一面真っ白の広大な空間が現れる。

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まず圧倒されるのが2階と3階を繋げた巨大な吹き抜け。初見では蔵書数よりも解放感を優先した大体な設計だなぁとか考えていたが、実はそれだけが理由ではない。館内は柔らかい自然な明るさで保たれていて不思議な居心地の良さがあるのだけれど、天井を見上げると照明器具が一切ないことに気づかされる。

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みごとにつるつる。

ではどうやって明度を確保しているのかというと、壁に空いている無数の穴(窓)から採光しているらしい。つまりこの大胆な吹き抜けはスペース全体に日光を行き渡らせるために用意された構造だったという訳。

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夏は眩しくなったりしないんだろうかと余計な心配が浮かんだりもするけど、恐らく窓の材質や太さでうまく緩衝されるよう計算されているのだと思う。

このアイデアが所謂”オレオレ”な感じがしないのは、閉塞的な場所にならないように、書架の一覧性があるように、という図書館をつくる上で最初に挙がるだろう課題に真摯に取り組んだ結果生まれたものであることが分かるからだと思う。真っ白な内装も過剰に清潔感を主張しているという感じではなく、外からの光で色が変わるなどうまく調和している印象を受ける。市民にも愛されている模様で、この日も勉強している学生や新聞を読むお爺さんまで幅広い年代の人で一杯だった。館内にあった図書館だよりによると駐車場が埋まって困るという苦情が来るくらい人が来ているらしい。

蔵書も漁ってみたが建築関係の本もやはり充実していて、その中には設計者によるこの図書館の解説本もあり面白いことが色々書いてあった。

例えば3階にあるこの謎のスペース。

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ガラスで囲ってあるだけの奇妙な場所だが、実はこれが換気システムらしい。ここは図書館の外側にある構造体と繋がっていて室外機の役割を果たしている。

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その他にも館内の書架は全て特注で、足元には細かい穴が開いておりそこからも換気をしているらしい。目立たない形で図書館全体に空気が循環する仕組みが用意されている。

海みらい図書館は本当に居心地が良く、もっと金沢の他の場所に行ってみても良かったもののダラダラ過ごしてしまった。以前人に勧められたカット・メンシックの挿絵が入ったバージョンの図書館奇譚を見つけて読んだりなどしていた。

短い富山金沢旅行はこんな感じ。そういえば金沢21世紀美術館の次の展覧会は好きな作家の一人である内藤礼の個展らしいので、また来ることになるかも。鈴木大拙館もリベンジしたい。


20200301 kanazawa

20200301-01 金沢/近江町市場~金沢市立玉川図書館

旅行二日目。金沢。

前回の記事にも書いた通り、コロナウイルスの影響で市内の観光施設が一斉閉館してしまった。このため急遽プランを変更し、金沢の有名建築を回ることにした。

しかしまずは腹ごしらえということで、朝一で近江町市場へ。

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って人少なっ!!

普段ならどの店も行列が出来ているはずなのに選び放題。人混みを避けたくて朝一に来たのは確かなんだけどここまでは求めてない。

異様な雰囲気を感じつつお目当てだった金沢おでんを頬張っていると、それでも少しずつ人が集まってきた。

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自分も牡蠣やサザエなどを頂いて満腹に。

離脱して最初のお目当ての金沢市立玉川図書館へ。

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金沢の図書館と言えば海みらい図書館が人気だけど、こちらも有名。豊田市美術館などを設計した谷口吉生とその父谷口吉郎の共同作品。外壁はところどころガラス張りになっていて、風通しの良い感じ。

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しかし一番ぶっ飛んでいるのは中。おわかりいただけただろうか。

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書架に一本の柱も被っていない!しかも唯一ある柱は壁との間に照明を設置して閲覧室として利用している。書架と天井までの距離もたっぷり確保されていて視界もよく通っている。やっぱり図書館で最も大事なのは一覧性であって、それを追求することで洗練された外観になるのが理想だと思うけど、まさにそれが実現されているように見える。こんな図書館を普段使いしてみたい…。

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特徴的な金属製の天井と、障害物なく真っすぐに並ぶ書架。

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柱が無くどこまでも見渡せる。

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中庭に面する壁は全面ガラス張りになっていて開放的。図書館にありがちな圧迫感は無い。

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2階(別館)とを繋ぐ特徴的なブリッジ。

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宙に浮く喫茶店

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2つの棟を繋ぐ特徴的な梁。館内に柱がほとんどないのはこれのおかげなのか。

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館内マップ。あの登りたくなるブリッジは児童図書コーナーへ繋がっている。

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図書館のすぐ隣には公園があり、周囲一帯が市民スペースになっている。読書で頭が沸騰してきたらこちらのベンチで風にあたるのも良さそう。

この後は金沢駅へ一度戻り、地元で評判の良いステーキ屋で肉を食べた。(能登牛ではない。でも金沢は何を食べてもうまい。) その後バスで金沢海みらい図書館へ向かった。

長くなったので記事は一旦ここで区切る。

20200229-02 富山/富岩運河環水公園まわり

富山後半。 

ライブの後は近くにある富岩運河環水公園へ。

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以前の富山旅行でも来たのだけど、その時はスケジュールの都合でゆっくり見ることができなかったので再訪問。この日は天気も良く、散歩する人やランニングする人などで賑わっていた。

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やちょうもいるよ。かわいいね。

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特徴的なのはこの2つの展望塔。中に入ることもできる。

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屋上からは立山連峰が一望できる。

ちなみに下に見えているガラス張りの建物はスタバ。このロケーションから世界で一番美しい店舗と呼ばれている(いた?)らしい。毎度長蛇の列ができていて入る気にはならなかった。

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展望塔の先にはよく見ると巨大な建物があって、これが富山県美術館。

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公園に来た人を誘い込むようにもっと主張したデザインにすればいいのにと思ったが、これには理由があるらしい。

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元々富山には別の場所に美術館があったものの、老朽化により時代に合わなくなってきたため引越しすることになった。検討の結果、環水公園のすぐそばに建てられることになったが、周囲の風景と調和するような外観を目指し、そのシルエットは公園や立山連峰とのレイアウトまで考慮して設計されているらしい。こういう地味で高尚なコンセプトは様々な干渉でブレていくものだけど、ここではしっかりと成立している。 

まずは夕方になると閉まってしまう屋上施設へ。21世紀美術館十和田市現代美術館じゃないけど、子供が遊べるスペースがある。敷居を低く見せることがこれからの美術館の命題なんだろうか。ただ、先に挙げたものと比べるとアート感は無くて純粋な遊具といった感じ。屋上に遊具を用意して人が来るのだろうかと疑問だったけれど、なかなか賑わっていた。

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 ひそひそ

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あれあれ

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ぷりぷり 

屋内は3階に分かれて展示室があり、その間を絡み付けるようにスロープで繋がれている。前面には縦に長い施設ならではの印象的な吹き抜けがある。

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展示については原美術館の個展も素晴らしかった森村泰昌の企画展を楽しみにしてたんだけど、実は開催日は一週間後だったらしく、常設展しか見れなかった。ここのコレクションかなり変わっていて、「アートとデザインを繋ぐ」をコンセプトにするだけあって椅子を収集しているという。

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実際に座ることもできて、一度体験したいと思っていたアルネ・ヤコブセンのエッグチェアがあった!かわいい!

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富山県美術館は大体こんな感じ。地方の美術館としては建築も面白くて十分なんだけど、お隣の21世紀美術館と比べるとコンテンツ不足が若干気になってしまった。あそこはホワイトボックスの数が多くて、企画展と常設展とは別に並行でギャラリーサイズの展示が複数あったりするし。ただ環水公園にはライブができるような小劇場やプロムナードもあって、この周辺一帯で一つの文化スペースとして見たほうがいいのかもしれない。

良い時間になってきたので、あいの風とやま鉄道で1時間かけて金沢へ移動。

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適当に探した店で寿司を食べるなどしてホテルへ。金沢は鈴木大拙館が一番の目当てだったのだけど、コロナウイルスの影響で市内の美術館が一斉に閉館されたことをこのタイミングで知ることに。覚悟はしていたから驚きこそないものの流石に堪える…。明日の予定を大幅に再計画してひとまず就寝。


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20200229-01 富山/ありか

この日は以前から楽しみにしていた島地保武と環ROYのライブを見に富山へ行った。世間はコロナウイルスの影響でイベントが次々に中止になっていく真っ最中で、おそらく中止になるだろうなと半ば諦めていたところまさかの決行。かなり迷ったが、むしろ時期的にこれが外出できる最後のチャンスだろうなと行ってみることにした。

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富山は以前にも来たことがあるけど、散歩しているとポケモンに出てきそうな街だなぁといつも思う。

遠くには立山連峰が見えれど富山駅周辺は綺麗なまっ平。南側は雑多に賑わっているのに対して、北側はイベントホール、体育館、公園などの市民スペースが集まってるなど役割がはっきりと分かれていて、これを南北に伸びる路面電車が繋いでいる。新幹線の開通に合わせて開発されたのか、歴史については知らないけれど、わざとらしさを感じるくらい綺麗に整備されていてそのニュータウン的な光景にどきりとする。この日は地下通路の一部が封鎖されていたりしてさらにポケモン感が増していた。

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ライブ会場のオーバードホールもやはり駅の北側にあった。

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ありか(島地保武×環ROY


島地保武×環ROY -「ありか」 2018

『ありか』は元々2017年頃に行われたダンサーの島地保武とラッパーの環ROYのライブパフォーマンス。見ることができなかったのを悔やんでいたところ、富山での再演が決まり大歓喜でチケットを取った。自分は環ROYのファンなんだけどダンスとの相性は気になるところがあって、彼は『ゆめのあと』のMVに独特な佇まいの人間彫刻が立ち並ぶヴァンジ彫刻庭園美術館を使ってたりとラッパーの持つ身体性を自覚して扱っているふしがあった。なのでこの公演も面白い化学反応が起きるんじゃないかと期待していた。


環ROY / ゆめのあと

ライブが始まってまず驚いたのは、ダンスとラップを混ぜたパフォーマンスってどんな物だろうと見に来たのに、島地保武と環ROYが交互にラップとダンスを披露するスタイルで始まったこと。環ROYのライブは過去に何度か見ているが、そこでやっていた一人で永遠とフリースタイルをするパフォーマンスをそのまま披露していた。二人が絡むパフォーマンスも勿論あるのだけど、DJブースに齧り付いて曲を流す環ROYを島地保武が引き剥がしたりとなぜか対立する構図になっている。それも演技の一部として魅せるようにやっているというより、なんだか弛緩した感じがする。また、全身の筋肉を器用に使いながら動き続ける島地保武と比較して、門外漢である環ROYが視覚的な面白さを要求してくる広い舞台の中で存在感が薄れていくことに「大丈夫かこれ…」と、このときは不安になった。

ライブが進行していくと徐々に連携が取れていくが、それでも決定的に面白いパフォーマンスというのは見せず、実験的なやり取りが進んでいく。そしてとあるシーンで環ROYが「違う!」と叫ぶところで、ようやく自分なりに筋が通った気がした。

恐らく本当はラップとダンスがより噛み合ったように見える完成度の高いパフォーマンスをすることも可能だったのだと思う。どちらもリズムに基づいて実施できるという共通点があるので、同期させるのは決して難しくないはず。しかし、この公演では安易な着地点を出したりせず、ラップとダンスは全く異なるものなんだと真摯に捉えて、混ざり合う場所を思索する姿そのものを見せようとしているのだと自分は解釈した。例えばパフォーマンスの中で環ROYが「吸う、吐く」と唱えながらダンスをする場面があるけど、これは呼吸からリズムという概念が生まれてそこからダンスとラップが枝分かれするように現れたんじゃないかという起源まで遡って共通点を探っていたんじゃないかと思う。

まあ実際はコンテンポラリーダンスが分かる人には全編見どころだらけだったのかもしれない。ただこの解釈なら前半の弛緩した対立もお互いの違いを認めるためのシークエンスとして捉えることができ、異なる文化への敬意に満ちた幸福な空間だと感じられた。最後には『exchange//everything』を元にした明確なリズムのあるパフォーマンスで締められたけど、この時にはもっと長く対話的なパフォーマンスを見ていたかったなと思えるようになっていた。

最終的には大満足でした。富山まで来てよかった。

 

この後は会場付近にある富岩運河環水公園へ行ったんだけど、長くなったので続きは別の記事へ。

20200223

二重のまち/交代地のうたを編む

恵比寿映像祭もとうとう最終日。『二重のまち/交代地のうたを編む』を見に行った。

この映画にはベースとなった『二重のまち』というテキスト作品があり、以前横浜トリエンナーレで見たことがあった。これは東日本大震災の被害を受けた陸前高田をモデルにした物語で、かつての大波によって更地になった土地の上につくられた新しいまちで暮らす人々の生活を描いたもの。この作品のことを覚えていたのは、震災という難しいテーマに対して、寓話性の高い物語をつくるという珍しいアプローチが印象に残っていたから。あくまで架空の世界の話になっていて、新しいまちで暮らす2031年の人々がトンネルを通ってかつてのまちに訪れる場面などがある。

震災の話って無視できないし忘れるべきでないんだけど、情報を集めていると「被災しなかった人間がこんなことで分かった気になってはいけないんじゃないか」という気持ちの壁にぶつかって先に進まなくなるという現象がある。利己的な感想で怒られるかもしれないけど、『二重のまち』の寓話性の高い物語はそういう壁を越えて伝搬することができるという力があると思う。

(震災と非被災者との関係をテーマにした作品と言えば、ヒッキーPが素晴らしい曲を出しているのを思い出した)

話が逸れた。この映画は『二重のまち』に連なる作品で、公募によって集められた被災者でない4人のメンバーに陸前高田に訪れてもらい、そこで聞いたエピソードを元に新しい物語を制作するワークショップの様子を撮影したもの。当然いまの陸前高田の光景が映される訳だけど、平らな土地にポツポツと新しすぎる建物が点在する光景はインパクトがある。ワークショップの記録映像という趣が強く劇映画的な展開は排されているが、最後に物語をつくる作業をしていた参加者たちが「分かった気になってそんなことをしていいのか」と語りだす場面は、やはりそこで壁があるのかと思わされた。

これは余談だけど、本作でやたら印象に残るのが焼肉で、4人の参加者は別々の人へインタビューに行くのに、そのうちの2組が焼肉をしながら話を聞くことになるのはちょっと笑いそうになってしまった。若者に肉を食べさせたいおじさん・おばさんの気持ちは全国共通なのだ…。 

 映画を見た後は思い残しが無いように恵比寿映像祭の展示を回った。これまで時間がなくてスルーしていた、木にぶら下がるナマケモノの様子を観察するだけの実験映画とか見たぞ!床に置かれたクッションで寝ながら見れるんだけど、隣のおっさんがいびきをかいていてうるさかった。

五月女哲平「our time」

五月女哲平の個展が始まっているのを思い出して青山目黒へ。東京都写真美術館からは徒歩30分程度だったので、住宅街の合間を縫って歩いて行った。

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会場は3箇所に分かれているので続きはまた今度。