20210710 イサムノグチ、八木良太

この日は耐え難い暑さで(30度もあったらしい)、サウナの中を歩いているような危険な日だった。しかしイサム・ノグチ展を予約してしまっていたので上野へ。

久しぶりに上野駅を降りたら公園側の改札口から道路が消えていて、まるで別の場所になっていた。

イサム・ノグチと言えば香川の庭園美術館。いつか美術館を目指しつつ、うどんを食べ歩く旅行をやろうと計画していたのだけどコロナで凍結。実行する前に個展が来てしまった。

展示構成はシンプルで、3つのフロアごとに、ブロンズ、金属、岩と素材で作品を分けている。岩のフロアは庭のイメージになっていて、椅子に座りながらゆったりと鑑賞できるようになっていて満足度高かった。(ここだけ撮影不可)

あと珍しい試みとして、美術館の解説音声システムを使った山口一郎によるサウンドツアーというのがあったので試してみた。(イサム・ノグチ好きの縁らしい)

これは要はDJみたいなもので、3つの展示フロアごとに組まれたプレイリストを聞くことができる。イサム・ノグチの音楽嗜好や活躍した時代を加味した丁寧なセレクトみたいだったけど、堂々と音楽を聴きながら美術館を歩ける非日常さそのものが面白すぎて曲を楽しむどころではなかった!

音声解説って普段使わないんだけど、人混みの中でプライベートな状態をつくれるので鑑賞に集中できるのが良いね。その効果もあってかゆったり見れた気がする。たぶん1時間以上居た。

ネタバレだけど、プレイリストの最後に流れるのはサカナクションの「茶柱」のインストバージョンで、恐らくここでしか聞けないレアな音源ながら、締めは自分の曲なのかよ!と心の中で突っ込んだ。

この日はもう1軒、無人島プロダクションの八木良太の個展も見に行った。

八木良太は大好きな作家で、時間について考察させる作品が特徴。今回も「浦島太郎の宇宙旅行」の名の通り、まさしくそういったテーマの展示だった。

どれもキレキレながら、一番気に入ったのはテープレコーダーを使った映像作品。

広州の風景をバックにテープレコーダーのスイッチを押すと、それに合わせて映像が早くなったり遅くなったりする。背景のおばあちゃんの演舞も激しくなったり鈍くなったりする。何もなくとも日本との時間の流れ方が違うように見える異国の風景が、更に変質して印象が変わる。時おり通り過ぎる人が不審そうな顔でこちらを覗き込んでくるのも良い。(そもそも映像と時間というテーマは相性が良いに決まっているので、もっと変わったのを紹介するべきだろうけど許して欲しい)

会場では過去作をまとめたDVDが売られていたので購入して帰った。

八木良太で比較的有名なのは氷のレコード?氷が溶けるにつれて音楽が飛びはじめる。