20200223

二重のまち/交代地のうたを編む

恵比寿映像祭もとうとう最終日。『二重のまち/交代地のうたを編む』を見に行った。

この映画にはベースとなった『二重のまち』というテキスト作品があり、以前横浜トリエンナーレで見たことがあった。これは東日本大震災の被害を受けた陸前高田をモデルにした物語で、かつての大波によって更地になった土地の上につくられた新しいまちで暮らす人々の生活を描いたもの。この作品のことを覚えていたのは、震災という難しいテーマに対して、寓話性の高い物語をつくるという珍しいアプローチが印象に残っていたから。あくまで架空の世界の話になっていて、新しいまちで暮らす2031年の人々がトンネルを通ってかつてのまちに訪れる場面などがある。

震災の話って無視できないし忘れるべきでないんだけど、情報を集めていると「被災しなかった人間がこんなことで分かった気になってはいけないんじゃないか」という気持ちの壁にぶつかって先に進まなくなるという現象がある。利己的な感想で怒られるかもしれないけど、『二重のまち』の寓話性の高い物語はそういう壁を越えて伝搬することができるという力があると思う。

(震災と非被災者との関係をテーマにした作品と言えば、ヒッキーPが素晴らしい曲を出しているのを思い出した)

話が逸れた。この映画は『二重のまち』に連なる作品で、公募によって集められた被災者でない4人のメンバーに陸前高田に訪れてもらい、そこで聞いたエピソードを元に新しい物語を制作するワークショップの様子を撮影したもの。当然いまの陸前高田の光景が映される訳だけど、平らな土地にポツポツと新しすぎる建物が点在する光景はインパクトがある。ワークショップの記録映像という趣が強く劇映画的な展開は排されているが、最後に物語をつくる作業をしていた参加者たちが「分かった気になってそんなことをしていいのか」と語りだす場面は、やはりそこで壁があるのかと思わされた。

これは余談だけど、本作でやたら印象に残るのが焼肉で、4人の参加者は別々の人へインタビューに行くのに、そのうちの2組が焼肉をしながら話を聞くことになるのはちょっと笑いそうになってしまった。若者に肉を食べさせたいおじさん・おばさんの気持ちは全国共通なのだ…。 

 映画を見た後は思い残しが無いように恵比寿映像祭の展示を回った。これまで時間がなくてスルーしていた、木にぶら下がるナマケモノの様子を観察するだけの実験映画とか見たぞ!床に置かれたクッションで寝ながら見れるんだけど、隣のおっさんがいびきをかいていてうるさかった。

五月女哲平「our time」

五月女哲平の個展が始まっているのを思い出して青山目黒へ。東京都写真美術館からは徒歩30分程度だったので、住宅街の合間を縫って歩いて行った。

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会場は3箇所に分かれているので続きはまた今度。